<Jリーグ>FC岐阜に浸透してきたラモスイズム
キャンプ最終日の大分戦では、5試合で8ゴールを挙げた田中智大や6ゴールを挙げた中村祐輝だけでなく、ド・ドンヒョンや関田寛士、清本拓己、野垣内俊ら多くの選手を主力組に起用した。指揮官の言葉に嘘はなく、チーム内競争は激しさを増している。 監督も変わり、選手も変わった。全員が一からのスタートである以上、選手たちの目の色が変わるのは必然かもしれない。しかし誰しもがひたすらアグレッシブにプレーしており、シュートを外せば、ミスを犯せば、尋常ではない悔しさを見せている。そんな光景を見るに、昨季からの、ある変化を感じずにはいられない。 強いクラブのBチームは往々にして強いと言われる。選手層の問題だけでなく「うまくなりたい」、「ポジションを奪いたい」という気概に満ちた選手がBチームに多いからだ。しかし、昨シーズン序盤の岐阜は、紅白戦を行ってもAチームが、大勝するのが当たり前で、大敗を悔やむBチームの選手は、お世辞にも多いとは言えなかった。 主力選手に負傷者が相次いだ際には、“出場可能な選手”の全員が、自動的にベンチ入りを果たしたこともある。選手の大量加入を経て改善されたものの、昨季の悩みの一つが、若手選手などの突き上げが乏しいことでもあった。 それはまた、「プロ意識の欠如」とも言い換えられるだろう。「プロ意識が足りないと聞いていた」と話すラモス監督は、監督就任に際し、プロフェッショナルな選手の獲得をオーダーした。「プロ意識を注入したい」というのが狙いだった。 プロ意識は誰かに教えられるものではない。選手自らが考え、意識的に練習に取り組んでこそ、自分のレベルが高まるものだ。昨季のメンバーからも半分以上が入れ替わっているのだから、変化もあって当然だろう。それらを踏まえた上で、キャンプ中旬、「チームにプロ意識は浸透してきましたか?」と投げかけてみたことがある。するとラモス監督は「少しは治っているけど、まだまだダメだよ」と語気を強め、こう続けた。