<Jリーグ>FC岐阜に浸透してきたラモスイズム
とは言え、完全なリアクションサッカーと呼ぶのは早計だろう。マイボール時には指揮官から「相手を走らせろ!」、「ボールを簡単に失うな!」というワードがしきりに飛ぶように、基本的にはボールをつなごうとしている。手数をかけずにゴールできるのであればそれに越したことはないため、決してボール保持が目的ではないが、自分たち主導でアクションを起こそうとしていることは確かである。今キャンプ中、ラモス監督はこう語っている。 「チャレンジするのかしないのか。いまはそれを見てるんですよ、僕は」 「いまは失敗してもいい。合宿でやってきたことに、勇気を出してトライしないと」 集中を欠いたようなプレー、消極的なプレーにはことさら厳しいが、トライした上でのミスには賞賛を送る。例えば、九州産業大との練習試合(4-1)は、「ほぼ完璧」とコメントした。スコア以上の決定機を作りながら、それらをモノにできなかったが、自分たちでアクションを起そうという意識が高かったことを評価した。 宮沢正史も「どこで網を張って、(相手のボールホルダーを)追い込んでいくかが大事」と咀嚼するように、チームメイトとのイメージ共有が不可欠。それを裏付けるように、今キャンプではそうした守備の戦術練習に時間を割く光景がしばしば見られた。 ラモス監督のこだわりは一見当たり前のことだが、サッカーの本質でもある。キャンプの総仕上げとなった大分トリニータ戦でも、切り替えの速さと球際の激しさが存分に発揮された。その代償か、数人のけが人も抱えてしまったが、そうしたチャレンジがなければ、Jクラブを相手にして4-2の完勝は成し得なかったはずだ。 今キャンプでは[4-4-2]を基本システムとしていた。ピッチには新加入選手たちがズラリと並ぶ。昨季の主力メンバーと比較すれば、実に8~9人もの選手が入れ替わったことになる。しかし、指揮官は「まずは彼らがやってみているだけで、レギュラーは約束していない。他の(サブ組の)選手たちもバンバン頑張ってくれている」と説明する。