39歳のレジェンド星大二郎、全日本選手権で17年ぶりに決勝進出 応援した村田諒太氏「当て勘がいい」 決勝は井岡一翔が応援?
ボクシングの全日本選手権第5日は30日、東京・墨田区のひがしんアリーナで男女各階級の準決勝が行われた。男子ライトミドル級は全日本選手権3連覇の実績がある星大二郎(39)=和歌山県庁=が、荒木陽仁(よひと、駒大)に5-0の判定勝ち。完勝で2007年大会以来、17年ぶりの決勝進出を果たした。田中廉人(自衛隊)は川村萌斗(東農大)を5-0の判定で下した。決勝は12月1日に同会場で開催される。 レジェンドの星は1回に荒木の勢いを左ボディーストレートや連打で止め、2回には右フックなどを当てて、ステップバックとスエーバックを使ってパンチを交わし、ディフェンスでも会場を沸かせた。最終3回は最後まで打ち合うスタミナを見せた。リングを下りると「今のアマチュアボクシングの選手たちが僕が出てくることによって、何かを感じてくれたらいい。僕を壁にして、乗り越えてほしいなって思う。全然勝ち負けにはこだわっていなくて、毎回ベストなプレーをして、対戦相手に何かを持って帰ってもらおうと思って出場させてもらっています」と出場した理由を説明。「本来であれば、指導とかをしないといけない立場なんですけど、先生方に甘えさせてもらって出させてもらっています」と感謝の言葉を述べた。 アマチュア戦績は200戦を超え、180勝以上を誇る。12年ロンドン五輪ミドル級金メダルで、元WBA世界同級スーパー王者の村田諒太氏(38)、12年ロンドン五輪バンタム級銅メダルで、元東洋太平洋、WBOアジア・パシフィック・フェザー級統一王者の清水聡(38)=大橋=らと同学年だ。 この日は村田氏が応援に駆け付け、観客席の最前列からスマートフォンを構えた。27日の1回戦、29日の準々決勝と尻上がりに調子を上げており、1回戦も会場で応援した村田氏は「当て勘がいい。初日より全然良くなっている」と称賛した。 和歌山県庁スポーツ科で、スポーツ振興の仕事に就く。仕事が忙しく、外部指導者をしている和歌山工高で、約1時間の練習を週4回積むのが精いっぱいの状況だ。それでも経験値でカバーし、快進撃を見せている。全日本選手権での決勝進出は、東農大時代にライト級を3連覇した2007年大会以来、17年ぶり。村田氏は「どうすんねん。明日(応援に)来られへんのに勝ってよ」と決勝は仕事の都合で応援に来られないことを嘆いたが、星は「あいつが来ると調子が狂うんで」とニヤリと笑った。 決勝は22年大会ライトミドル級王者の田中との対戦となった。星は「今日強かったので、怖いです」とおどけたが、「農大を背負って頑張りたい」と意気込んだ。東農大の後輩で、元世界4階級制覇王者の井岡一翔(35)=志成=に「あいつも12月31日に生き様をかけて闘うんで、『ちょっと僕の試合も見に来いよ』って、今日帰ったら声かけようかなと思っています。試合前なんで、来てくれるかどうか分からないですけど」と現地観戦を促すことを明かした。
井岡は大みそかに東京・大田区総合体育館で、初防衛を目指す王者のフェルナンド・マルティネス(33)=アルゼンチン=とダイレクトリマッチを闘う。(尾﨑陽介)