高齢の親がお年玉として「100万円」くれました。本人は「相続対策」のつもりらしいですが、贈与税が心配です。税務署から電話がかかってくることはありませんか…?
税務署から電話がかかってくることはあるのか?
お年玉100万円を受け取ったことで、税務署から電話がかかってくる可能性がないとは言い切れません。預金の動きに不審な点があれば、税務署も調査しなければならないからです。ただ、もし電話があったとしても、素直にお年玉でもらった旨を話せばよいです。前述の通り、贈与を受けた総額がお年玉を合わせて年間110万円以下であれば、贈与税もかかりません。
最大の問題点は親族間トラブル?
お年玉100万円には税金の問題がついてくることを解説しました。しかし、最大の問題点は不平等な贈与による親族間トラブルかもしれません。 例えば、3人兄弟で長男1人だけが100万円のお年玉を受け取っていたことを他の2人が知った場合、2人がすんなり納得するとはあまり思えません。言わなければバレないと思うかもしれませんが、親の相続税計算の際に行われる生前贈与加算という制度では、死亡前3年以内の贈与を相続税計算に含めなければなりません。 つまり、長男だけに贈与が行われていたことを他の兄弟が知る機会があるということです。兄弟がいる場合には、お年玉も平等に配るよう配慮が必要です。お年玉を受け取る前に親に確認するとよいですね。 なお、生前贈与加算は税制改正が行われており、2024年1月1日以後の贈与については、その加算対象期間が相続開始前7年以内となりました。経過措置によって、2026年12月31日までの死亡であれば3年以内ですが、徐々に延びていき、2031年1月1日以降は7年となります。
まとめ
お年玉100万円は贈与税の対象になりますが、親から受け取った財産が年間でこの100万円のみであれば、贈与税の基礎控除の110万円以内なので贈与税は発生しません。万一税務署からの問い合わせがあっても、正直に「お年玉として受け取った」と答えましょう。 しかし、最大の問題点は親族間トラブルとなる可能性がある点です。お年玉を受け取る前に親に平等性を確認しておくとよいでしょう。 出典 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合 国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合 国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税) 執筆者:佐々木咲 2級FP技能士
ファイナンシャルフィールド編集部