「勉強が得意な子の“早めの通塾”は逆効果?」塾講師が明かす、学力別のベストな“通塾期間”
・通塾時期を決める三つの要素
中学受験は小学3年生の2月からのスタートが一般的とされています。 高校受験はどうでしょうか。ある中堅クラスの都立高校の新入生に対するアンケートによると、塾に継続的に通っていた生徒は60%でした。それ以外に、模試や講習会のみ塾を利用した生徒が14%、塾を利用していない生徒は26%でした。 継続的な通塾率がこの程度であることを意外に思うかもしれません。教育熱の高い東京であっても、高校受験の中間層はこんなものです。 さらにレベルの高い共通問題実施校最上位の都立小山台高校でも、主要7大塾の合格者の占有率は約45%にとどまっています。在校生に聞いたところ、周りは通信講座や地元密着型の塾、または講習会のみ塾を利用した生徒が多いそうです。 中学受験と高校受験の大きな違いの一つは、学校の授業内容が入試にどれだけ寄与するかです。中学受験では、小学校の学習内容と入試問題が大きく異なるため、塾のカリキュラムに頼らざるを得ない状況です。一方、高校受験は中学校の学習内容を基にしているので、学校の授業を効果的に活用すれば、塾への依存を最小限に抑えることが可能です。 とはいえ、塾での指導に携わる私たちから見れば、「もっと早く塾に通い始めていれば」と感じる生徒も少なくありません。高校受験のための塾通いの必要性やそのタイミングを決める際には、以下の三つのポイントを考慮すると良いでしょう。 ①公立中学校の定期テストで5科目合計400点(1科目80点平均)をクリアしているか。 ②自立学習が身についているか。 ③難関私立高校や独自問題を出題する公立都立高校を受ける予定があるか。 ①のポイントは、公立中学校の定期テストの点数です。 1科目平均80点以上が取れていれば、おおむね公立中学校の授業がきちんと身についていると判断しても良いでしょう。 ②のポイントは、自立学習習慣の有無です。 毎日の勉強習慣が確立していて、定期テストや検定試験に向けた勉強を計画的に進められれば、通塾時期を繰り下げることができます。自立学習が身についていないなら、塾を学習のペースメーカーとして機能させるのが賢明です。 ③のポイントは、特別に高度な受験対策が必要かどうかです。 早慶附属のような難関私立高校の場合、遅くとも中学2年生の時点で、塾に通い始めることが望まれます。 また、高難度の入試問題を出す公立・都立高校に挑戦する場合、通信講座や講習会だけで対策をすすめることも可能ですが、中学3年生からは塾で対策したほうが効率的です。