「カムカムエヴリバディ」安子演じきった上白石萌音から娘るい・深津絵里にバトン
祖母、母、娘の3世代親子を描く朝ドラ史上初3人ヒロインが話題のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」だが、初代ヒロイン・上白石萌音から2代目ヒロイン・深津絵里にバトンが渡される。23日から深津が本格登場する。(以下ネタバレあります)
名実ともにヒロインとして申しぶんない3人(上白石、深津、川栄李奈)を揃えた同作だが、ドラマの成否を大きく左右する要素として登場人物にどれだけ感情移入できるか、という面は大きい。まずは初代ヒロイン・上白石が期待に違わない演技でドラマを盛り上げた。 「脚本、演出、演技、三拍子揃って良くなければ視聴者は物語に十分な感情移入をすることができません。まず脚本が悪ければ最初から話になりませんし、どんなに優れた脚本でどんなにいい役者を起用しても演出が奇をてらったり内容に合わなかったがためにドラマが失敗するケースもあります。また、脚本と演出が良くても役者の演技が未熟ならやはり観る側はしらけてしまいます」(テレビ情報メディア40代男性編集者) 上白石の演技は安子の14歳の少女時代から母親になるまでの時間の経過もさすが自然だった。その時々のさまざまな安子を見せて視聴者の心をつかんだ。最近の回でも娘るいを置いて雉真家を出なければならないという局面でるいを諭す演技など、母親の包み込まれるような愛情があふれ涙をさそう見事な場面だった。 妹の上白石萌歌とともに女優姉妹として知られる上白石萌音だが、12歳の時に第7回「東宝シンデレラオーディション」で審査員特別賞を受賞し当時最年少でグランプリを受賞した2歳下の妹・萌歌と芸能界入りするきっかけとなった。その後、16歳で初主演した映画「舞妓はレディ」(周防正行監督)で第38回日本アカデミー賞の新人俳優賞受賞など高い評価を受けた。小学生の頃から地元・鹿児島のミュージカルスクールに通っていたという素養が開花した。昨年は佐藤健と共演した民放の“胸キュン”な連ドラ「恋はつづくよどこまでも」の好演が話題になった。 22日放送の第38回では波乱万丈の半生を送る安子が、波乱万丈の極みともいえる展開からるい(深津)にバトンタッチ。深津もまたその実力は折り紙付きだ。日本アカデミー賞最優秀主演女優賞と最優秀助演女優賞、両方の受賞経験がある数少ない役者。深津演じるるいは、雉真家を出て岡山を離れ大阪へ向かう。果たしてどんな人生模様を見せてくれるだろうか。 (文・志和浩司)