【Q&A】クマに遭遇したときの対処法は? 【図解】
クマによる人身被害が増えています。最近では農地や住宅地など人間の生活圏での被害が増加しているといいます。日本にはどのようなクマがいて、活動期はいつなのでしょうか。また、クマと遭遇した際にはどのような行動をとる必要があるのでしょうか。環境省の資料を基に解説します。
Q:日本にはどんなクマがいるの?
本州と四国にはツキノワグマ、北海道にはヒグマが生息しています。 ヒグマの方が大型で、雄だと100~250キロ、雌でも60~150キロあります。これに対して、ツキノワグマは雄が40~100キロ、雌が30~60キロ程度だといいます。
Q:人身被害はどのくらい増えているの?
環境省によると、1980年度から2020年度にかけてヒグマによる被害は負傷73人、死亡20人、ツキノワグマによる被害は負傷2277人、死亡40人となっています。 ヒグマとツキノワグマを合わせた全被害数は1980年度には10人程度でした。しかし、その後は増加傾向にあり、1999年には60人を上回りました。近年は年によってばらつきはあるものの、60~160人程度の被害が出ています。
Q:どうして被害が増えているの?
環境省は、中山間地域で過疎化や高齢化が進むなど人の活動が減っており、これがクマの警戒心を低下させ、出没件数を増加させる可能性があると指摘しています。 耕作放棄地の拡大もクマの行動を変化させる可能性があるとしています。
Q:被害が多い地域や時期は?
2006年度から2020年度の合計数を見ると、岩手・秋田・福島・新潟・長野の5県を中心に、ツキノワグマが生息する東北地方、甲信地方、北陸地方で多い傾向があります。 クマは11月下旬~12月ごろから冬眠するため、冬の間は被害がほとんどありません。06~20年度の人身被害の発生時期を見ると5月から11月が100件を超えており、最も多いのは10月(250件超)です。
Q:クマに遭遇したときにはどうすればいいの?
環境省は、クマと遭遇した場面ごとの「取るべき行動」を紹介しています。 以下はその一部です。 ▼遠くにクマがいることに気付いた →落ち着いて静かにその場から立ち去る。 ▼近くにクマがいることに気付いた →クマを見ながらゆっくり後退。落ち着いてクマとの距離をとる。 ▼至近距離でクマと突発的に遭遇 →顔面・頭部が攻撃されることが多いため、両腕で顔面や頭部を覆い、うつぶせになる。 ▼親子連れのクマと遭遇 →母グマが攻撃行動をとることが多いため注意が必要。子グマが単独でいる場合も近くに母グマがいる可能性が高く速やかにその場から立ち去る。