【Q&A】「世界遺産」どう決まる? 【図解】
よくニュースで見聞きする世界遺産。歴史的な建築物や、唯一無二の壮大な自然風景が登録され、昔からあるような印象があります。しかし、実は最初の登録は1978年で、歴史は比較的浅いものです。そもそもなぜ世界遺産を登録する制度が始まったのでしょうか。また、どのようなプロセスを経て決定されてきたのでしょうか? ひもといてみましょう。
Q:世界遺産って何?
1972年のユネスコ(国連教育科学文化機関)総会で採択された「世界遺産条約」に基づく遺産のことです。「顕著な普遍的価値」を持つ遺産の保護、保存に取り組むことが掲げられました。 日本ユネスコ協会連盟のホームページでは、世界遺産について「現在を生きる世界中の人びとが過去から引継ぎ、未来へと伝えていかなければならない人類共通の遺産」と説明しています。
Q:世界遺産を登録し始めたきっかけは?
1960年代、エジプトでアスワンハイダムというダム建設が計画されました。この計画によりナイル川流域の遺跡が水没の危機にさらされ、この遺跡群を移築するキャンペーンが展開されました。「人類共通の遺産」を保護するという考えの広まりが、ユネスコ総会での世界遺産条約の採択の流れにつながりました。 78年には、初の世界遺産としてガラパゴス諸島(エクアドル)やイエローストーン(米国)など12か所が登録されました。 日本では当初関心が高まらず、世界遺産条約を批准したのは1992年になってから。世界で125か国目でした。外務省のホームページによると、2020年7月現在の締約国は194に上っています。
Q:世界遺産はいくつあるの?
世界遺産には大きく分けて3種類があります。歴史的な建築物や遺跡などの「文化遺産」、貴重な生態系や地形、絶滅の恐れのある動植物が生息する場所などの「自然遺産」、それから文化遺産と自然遺産の両方の価値を兼ね備えた「複合遺産」です。 外務省によると、2019年7月現在の世界遺産に登録されているのは1121件。内訳は文化遺産869件、自然遺産213件、複合遺産39件となっています。