ウクライナ危機新たな局面に-ロシア領に長距離弾攻撃、核の脅し招く
ウクライナ軍参謀本部はこれより先、同国国境から約115キロの地点にあるロシア・ブリャンスク州のカラチェフにある兵器保管施設を攻撃したと確認した。参謀本部と国防省は攻撃に使用した兵器について機密情報だとして明らかにしていない。ロシア国防省はミサイル5発を迎撃し、死傷者の報告はないという。
核ドクトリン改定
一方、プーチン氏はドローンを含む通常兵器による大規模攻撃を受けた場合の対応として、核による報復を可能にする大統領令に署名した。オンラインに掲載された大統領令によれば、非核保有国が核保有国の支援を得てロシアやその同盟国に攻撃を仕掛ける場合、ロシアは共同攻撃だと見なす。
プーチン氏は今年9月、核保有国の支援を受けた非核保有国による攻撃を踏まえ、核ドクトリンを改定する考えを示していた。
こうした動きを受け、地政学的な緊張が高まる際に買われることの多い国債や円、スイス・フランが上昇。米10年債利回りは一時7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、ドイツ10年債利回りは11bpそれぞれ低下した。円はドルに対し最大で0.8%値上がりし、スイス・フランはユーロに対して8月以来の高値を付けた。
米国家安全保障会議(NSC)の報道官は、ロシアの核ドクトリン改定に対応して米国が核指針を調整する理由はなく、ロシアの決定に意外性はないと述べた。
米政府、核指針の調整を否定-ロシアの核ドクトリン改定受け
ロシア大統領府のペスコフ報道官は、西側のミサイルを使ったウクライナの攻撃は核保有国の支援を受けた非核保有国の攻撃だと見なされるだろうと指摘。
ロシアは主権や領土保全に重大な脅威をもたらす「通常兵器を使った攻撃に対し、核兵器を使用する権利を留保する」と主張した。同報道官の発言は国営タス通信が伝えた。
国営通信社RIAノーボスチによると、バイデン政権がウクライナでの戦争を確実に継続させるため今後2カ月にあらゆる手を尽くすだろうとロシアは認識しているとも、ペスコフ氏は発言。米実業家イーロン・マスク氏が戦争の仲介役を務める可能性については、同氏の外交的な取り組みをロシアは関知していないとペスコフ氏は述べた。