なぜ?また混乱…渡辺直美さん侮辱演出で開閉会式統括の佐々木氏が謝罪文公表、電撃辞任も…目立つ“言い訳”と解決しない問題
だが、文書の中には「ざっくばらんにやりとりした中で、私が調子に乗って出したアイデア」、「LINEが好きで内輪でのやり取りのつもりでしたが、今回多くの方に伝わることになり…」などと、LINE流出への”恨み節”とも受け取れる箇所もあり、佐々木氏が、今回の問題の本質を本当に理解しているのか疑わしい部分もあった。 問題はこれだけではない。 開会式の演出メンバーは、当初、映画監督の山崎貴氏、狂言師の野村萬斎氏、映画プロデューサーの川村元気氏らでスタートした。だが、新型コロナの影響による開閉会式の簡素化など状況の変化もあり昨年12月には野村氏が“降板”。週刊文春によると右往左往する背景には内部での派閥争いもあったという。人気音楽ユニットperfumeなどの演出振り付けを行っている演出の中心人物だったMIKIKO氏が、途中からパラ担当から五輪担当になった佐々木氏に“排除”された動きや、IOCに評価されたMIKIKO氏の企画を佐々木氏が“乗っ取った”などの問題行動があったことも週刊文春は報じている。 MIKIKO氏は、昨年11月にメンバーを去ることになったが、組織委員会に提出された辞表を週刊文春は入手。MIKIKO氏は、その中で辞任に至った問題点を指摘していて、現在、MIKIKO氏の企画は、佐々木氏により白紙に戻されたという。またパラリンピックの開閉会式の演出で、重要なポジションにあった女性ディレクターの栗栖良依氏も“排除”されるなど、佐々木氏が総合統括となった現在の主要な演出メンバーに女性は起用されていない。 佐々木氏は「追記をお許し下さい」としたもうひとつの文書の中で、これらの週刊文春の報道に対しても触れ、こう釈明している。 「私の認識としては前任者の企画を乗っ取ったかのような内容は事実ではない」 「MIKIKOさんを中心に考えられていた開会式プランは私が白紙化した事実はなく、演出予算が10億で4式典をやると言われ、私はむしろ簡素化、安心安全へのコロナ後の、また大幅に予算削減の中でそれまでの企画演出を、LIVEではなくremoteでできないかという視点からMIKIKOさんのプレゼンされた企画書の絵を使い、縮小したりしながらIOCに提案しました」 このあたりの事実関係の真偽は、今日18日の会見で明らかにされるだろうが、さらに同氏は、「スタッフに男性が多いというご指摘はその通りです。私に責任があります」と“女性排除”を認めた上で、この問題に関しても「最後のブラッシュアップ段階ですが、橋本新会長のご意志も伺い女性のクリエーティブディレクター、アートディレクター、映像監督、などを重要な場面に起用させて頂くつもりでした」と“言い訳”している。 そして、この文書を「あらためて、渡辺直美さん今回は大変申し訳ありませんでした」という唐突な謝罪で締めていた。 東京五輪組織委員会は、森喜朗氏の女性蔑視発言による辞任、川淵三郎氏の辞退、橋本聖子会長の就任などのドタバタ劇を繰り返してきたが、今回の週刊文春のスッパ抜きで明らかになったのは、組織としてのガバナンスが機能しておらず、ジェンダー平等などの五輪の理念が不在であるという現実だろう。 スポンサーフィーなどがあるため、すべてとは言わないが、それらのナンセンスな問題に税金が投じられていることを組織委員会は、もう一度、真摯に考えた方がいい。佐々木氏の謝罪文発表、辞任だけで、これらの根本的な問題は幕引きとはならないのである。