東京五輪開催に海外メディアは依然として懸念「五輪は中止にすべき」「疑念は消えることなく燻っている」
東京五輪・パラリンピック開催に向けての東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長、東京都の小池百合子知事、丸川珠代五輪担当相、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長による5者会議が3日、テレビ会議により開催された。海外からの観客受け入れの是非について橋本会長は、3月25日までに決断を下すことを決定。「安心安全が保たれる実感が国民の皆さんになければ難しい」との見解を示した。 この5者会議の結果を海外メディアはどう受け止めたのか。 このタイミングで厳しい主張を展開したのが英ロンドン・タイムズ紙だ。「今年の五輪大会を中止するべき時だ」との見出しを取りアジア編集長のリチャード・ロイド・パリー氏のコラムを掲載した。記事は「この夏に東京で感染拡大につながるイベントを行うリスクは日本だけでなく、世界にとっても大きすぎる」との主張を展開した。 同紙は1月下旬に政府与党筋の情報として「政府が内密に東京五輪中止を決定。2032年開催プランが水面下で進行」の報道を行っていた。 ワシントンポスト紙は、「関係者と水曜日の(日本メディアの)報道によると、海外からの観客は禁じられる可能性が高く、スタジアムに入る国内からのファンの人数も制限することになるだろう」との見通しを伝えた上で「新型コロナウイルスに対するワクチン接種を多くの選手たちが受けるとの考えとともに、暗い影が投げかけられている東京五輪を7月に開催するための計画が具体化してきている」と報じた。 同紙は、海外からの観客を受け入れられない理由として「アスリートが合宿地や五輪村と大部分で隔離される一方で、海外からの観客の多数が東京周辺を出回ることになるとの見方が、多くの人々を怯えさせている」との日本の社会情勢を紹介。東京五輪組織委員会の橋本会長が会見で「海外からの観客を禁止することが『安全で安心な大会』を確かなものとし、一般世論の懸念を静める唯一の方法になる」との意向を示したことを伝えた。 またIOCのバッハ会長が、「日本、特に東京の人々にとって安全であることを確認することが重要」と強調したことと、「IOCは日本入国前に多くの参加者にワクチン接種をさせることで協力したい」との意向を示したことにも注目。 400mリレーで2つの五輪金メダルを獲得しているジャマイカのヨハン・ブレークが、先日、地元メディアに「新型コロナのワクチンを接種するくらいなら東京五輪を欠場するだろう」とコメントしたことを紹介。その上で、「バッハ会長はワクチン接種が義務とはならないと繰り返し述べたが、彼は、選手、コーチ、関係者にできる限りの倫理的な圧力をかけようとしている」と、IOCの方針を伝えた。