【藤井聡太式】就学前にやっておくべき学習とは? 遺伝や素質よりも重要な親の関わり方
精神科医というお仕事の傍ら、受験や勉強法に関する本を300冊以上出版、40年にわたって大学受験の指導を行っている和田秀樹さん。東京・文京区には幼児教育機関I&Cキッズスクールを創設、子どもの知性を育み、自信をつけさせる保育を実践されています。 受験学習法・幼児教育のプロである和田先生の著書『5歳の壁 語彙力で手に入れる、一生ものの思考力』(小学館)より、子どもの人生を変える幼児期の親の関わり方について紹介します。 ※ここからは『5歳の壁 語彙力で手に入れる、一生ものの思考力』(和田秀樹・著/小学館)の一部から引用・再構成しています。
なぜ5歳児に「語彙力」が必要なのか
【和田秀樹さん(以下、和田さん)】:長年、子どもの教育現場に身を置いてきて、みなさんに伝えたいのは、子どもの学力はもともとの素質や遺伝よりも、勉強の方法や取り組み方に左右されやすい、ということ。自分から学ぶ意欲を持つ子どもが、最終的にはいい結果を出しているのです。 就学前の5歳前後に親や周りの大人がどう関わるかによって、子どもの人生は大きく変わっていきます。そしてこの時期に、子どもが小さな成功体験「できた!」を積み重ね、それを周りの大人に褒められ、成果を認められることで、「自分はできる」という自信や自尊心を養うことができます。 そして幼児期の子どもが小さな成功体験を積み重ねるのにもっとも適しているのが、基本的な読み書きの能力を身につけることなのです。 ■語彙力が身につけば、「わかる」「できる」の体験も増える 【和田さん】:日本語を読む力や書く力を高めることは、子どもの考える力を養うことにつながり、小学校に入ってからの学力を確実に伸ばすばかりか、一生、その子を支えてくれる土台となります。 また、言葉を知っていれば知っているほど、読解力を高める上で有利になります。 人の話を理解できるようになり、自分の思っていることを伝えられるようになると、日常的に「わかる!」「できる!」と感じるようになります。 この「わかる体験」「できる体験」、さらに「人から褒められる体験」を頻繁に重ねることで、自尊心が大きく育っていくのです。 多くの言葉を理解し、読み書きに適切に使いこなす力を「語彙力」と言います。 特に幼児期の子どもには、言葉をたくさん教えてあげることが必要です。語彙力が低いまま小学校に上がると、教科書に書かれていることや、先生の説明している内容が理解できないことがあります。 集団での学習では、言葉の意味を理解できない子や言葉で伝えるのが苦手な子は取り残されます。