【藤井聡太式】就学前にやっておくべき学習とは? 遺伝や素質よりも重要な親の関わり方
藤井聡太式学習で「考える力」を育む
【和田さん】:子どもは覚えた言葉をすぐに使いたがります。その言葉を繰り返し使っているうちに、頭の中にさまざまな知識や情報が蓄積されていき、それらがどんどんつながっていく。 語彙はつまり思考の材料。材料が増えれば増えるほど、考える力は上がるのです。 将棋棋士の藤井聡太さんが14歳でプロになれたのは、膨大な将棋の指し方(棋譜)のパターンを覚えてきたからだと言われています。 彼はそれまで頭の中にインプットされてきた棋譜の中から、その局面に近いパターンを選び出すという作業を脳内で超高速で何千通りも行い、瞬時に最善の手を見つけ出します。 棋士にとって、これが「考える」ということなのです。 小さな子どもに対してもまずすべきことは、思考力のもと=考える材料、つまり語彙を増やしてあげることが大事だと言えるでしょう。
「賢く見られる」ことが自信につながる
【和田さん】:幼児期の子どもは、その成長過程において驚くべき記憶力を持っています。 子どもは新しい言葉やフレーズを聞くとそれをそのまま記憶し、実際に使うことがあります。家族の会話や絵本の読み聞かせなどから、自然にたくさんの言葉を学んでいるのです。 このような記憶優位の特性を持つ時期に、できるだけ多くの言葉や表現に触れさせることが語学習得にとっては理想的と言えます。 ■9歳ごろまでに思考の土台をつくることが重要 【和田さん】:一方、幼児期の子どもには考える力はまだ十分に発達していません。考える力がしっかりと備わるのは、だいたい9歳ごろから。 それまで優位だった記憶力に加え、論理的な思考力が育ってきて、抽象的な概念も徐々に理解できるようになっていきます。 その結果、物事の因果関係を理解したり、推測したりする抽象思考が発達していくと考えられます。国語の読解問題や算数の図形問題、文章題など、より複雑で難しい問題に取り組めるようになるのもこの時期です。 だから記憶力優位の9歳頃までに語彙を増やし、思考力の土台をつくることが重要なのです。 語彙力をつけるメリットは他にもあります。それは「賢いように見える」こと。 賢く見えることで、周りの大人から褒められて自信がつきますし、同年代に比べて語彙の豊富な幼児は大人っぽく見られ、友達からも一目置かれる存在になります。