テレンス・コンラン、日本初の展覧会。デザインブームの火付け役にもなった人物像に迫る企画が東京ステーションギャラリーで10月開催
デザインブームの火付け役
「デザインが暮らしを豊かにすること、いつでもこれが私にとって一番大事なことだった」。これは「Plain, Simple, Useful(無駄なくシンプルで機能的)」なデザインが生活の質を向上させると信じ、個人の生活空間から都市、社会までを広く視野に入れ、デザインによる変革に突き進んだサー・テレンス・コンラン(1931~2020)の言葉だ。 イギリスの生活文化に大きな変化をもたらし、デザインブームの火付け役にもなったコンランの人物像に迫る日本で初めての展覧会「テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする」が東京ステーションギャラリーで開催される。会期は10月12日~2025年1月5日。 戦後まもなくテキスタイルや食器のパターン・デザイナーとして活動を始めたコンランは、1960年代、ホームスタイリングを提案する画期的なショップ「ハビタ」をチェーン化して成功を収め、起業家としての手腕を発揮。そして、1970年代から展開した「ザ・コンランショップ」におけるセレクトショップの概念は、日本を含む世界のデザイン市場を激変させた。 このほかにも、家具などのプロダクト開発、廃れていたロンドンの倉庫街を一新させた都市の再開発、書籍の出版など、関わった事業は多岐にわたる。いっぽう、1950年代からレストラン事業にも乗り出し、高級レストランからカジュアルなカフェまで50店舗以上を手がけ、モダン・ブリティッシュと称される新しい料理スタイルをイギリスの食文化に定着させた。長年あたためていたデザイン・ミュージアムの設立構想を1989年、世界に先駆け実現させたことも大きな功績のひとつだ。 「デザイナー、コンランのはじまり」「起業の志:ハビタとザ・コンランショップ」「食とレストラン」「再生プロジェクトと建築/インテリア」「バートン・コート自邸」「ものづくり:ベンチマークとプロダクト」「⽇本におけるプロジェクト」「未来にむけて」の8章からなる本展。パターン・デザインした食器やテキスタイルなどの初期プロダクト、家具デザインのためのマケット、ショップやレストランのためのアイテム、発想の源でもあった愛用品、著書、写真、映像など300点以上の作品や資料に加え、彼から影響を受けた人々のインタビューを交えながら様々なコンラン像を浮かび上がらせる。
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