性格は何歳になっても変えられる?研究でわかった「生まれ」と「育ち」の意外な真実【脳科学者が解説】
性格は変えられないものだと思いますよね。しかし、脳科学者の西剛志氏は著書『「おとなしい人」の完全成功マニュアル 内向型の強みを活かして人生を切り拓く方法』の中で、「後天的に変化する」と言っています。一体どういうことでしょうか? その理由を、本書から紹介します。
占星術を信じるだけで性格が変わる
「性格」は人生のありとあらゆる場面に影響を及ぼします。「自分は不安系内向型だった」「誠実性がないのでうまくいかない」と、焦る気持ちになる人もいるかもしれませんが、安心してください。性格というものは、実は意外なほど簡単に変わってしまうものです。意図的にシフトすることもできます。 これはイギリスの実験ですが、占星術を信じている2000名以上を調べた結果、星座通りの性格の人が多かったそうです。しかし、占星術を知らない子どもたち1000名を調べた結果、性格と占星術にはほとんど相関が見られませんでした。つまり、「さそり座の人は情熱的な恋愛をする」「おひつじ座の人はおとなしい」というような言葉を信じると、実際に性格が変化してしまうことを意味しています(専門用語では信念バイアスとも言われます)。 多くの人は驚くかもしれませんが、 性格は生まれつきのものではなく、後天的に変化することがわかってきているのです。では、なぜこんなことが起きるのでしょうか。
「生まれ」と「育ち」の真実
「性格は生まれつき遺伝で決まっていて変わらない」私も講演会で多くの人に出会ってきましたが、そのように思っている人が多いようです。しかし、私たちのパーソナリティは大きく2つの要素からなっています。それが「気質」と「性格」の2つの部分です。 「気質」とは、遺伝子によって生まれたときから決まっている先天的なパーソナリティです。イライラしやすい、喜びを感じやすい、新しいことに興味を持ちやすい、人が好きなど、これらは生まれつきドーパミンやセロトニンなど脳内の神経伝達物質の量によってある程度決まっています。「性格」(キャラクター)とは、生まれてからの後天的な体験や出来事によってつくられるパーソナリティです。 遺伝子が同じ一卵性双生児の研究でも、大人になるにつれて性格や好みが異なってくる現象があります。これはまさに後天的な体験や環境の違いで、後天的に性格がつくられているからです。行動遺伝学の研究でも、私たちのパーソナリティは全体の約40~50%が遺伝的な影響であることが示されています。 米国ワシントン大学セントルイスのロバート・クロニンジャー博士は、この「気質」と「性格」の2つの要素が私たちのパーソナリティの不可欠な要素であることを提唱しており、「TCI理論」(TemperamentandCharacterInventory)として世界の数多くの研究者に支持されています。先天的な「気質」は遺伝子で決まっていて変えることができません。しかし、後天的な「性格」はいくらでも成長させることができるのです。 英語ではよく「Nature」(生まれ)と「Nurture」(育ち)と言われますが、人の性格は育ちによっても大きく変化していきます。