まひろと周明が再会。20年の時を経て周明が伝えてくれた「大切なこと」とは【NHK大河『光る君へ』#46】
周明がまひろに「帰ってきたら、話したかった」こととは?
周明は松浦に行って思いを果たしたら大宰府に戻ってくるようにとまひろに伝えました。書くことは都でなくてもできることをまひろに教え、帰ってきたら話したいことがあると伝えた周明。彼がまひろに伝えたかったことは何であるのか想像の域を出ませんが、一緒に大宰府で暮らすことを提案したかったのかと勘ぐる視聴者は筆者だけではないはずです。 周明は「まだ命はあるんだ」「これから違う生き方だってできる」と、まひろの背中を押しますが、彼の命は危機にさらされてしまいます。まひろに付き添って船越の津に向かう途中、まひろらは刀伊と呼ばれる異人の襲撃に遭いました。周明はまひろを守りながら必死に逃げますが、転んだまひろに手を差し伸べているときに矢が命中してしまったのです。
周明の容体は来週以降にならなければ分かりませんが、厳しい状態にあるような気がします。 史実において、平安時代も後半になると政における貴族の影響力はしだいにうすれてゆき、武士が社会において力をもちはじめるようになります。本作は貴族政治のみならず、武士の時代の訪れのきざしも描かれていますが、こうしたところにも人間社会の無常が読み取れます。移り変わる世の中で人間は儚くも、むなしい存在といえるのかもしれません。 ▶つづきの【後編】では、作品の背景を深掘り解説することで、ますますストーリーの理解とおもしさが深まる雑学とお届け。今回は平安時代における「長距離移動」についてです。
アメリカ文学研究/ライター 西田梨紗