【Q&A】「WHO」とは?
新型インフルエンザが世界的に感染拡大を続ける中、世界保健機関(WHO)の役割や、テドロス事務局長の発言が注目を集める機会が増えました。ではこのWHO、どのような組織なのでしょうか? WHOの公式サイトなどを基に解説します。
Q:WHOってどんな組織なの?
1948年4月7日に設立された国際連合(国連)の専門機関です。加盟国は194か国に上り、世界中に150以上の拠点を構えます。本部はスイス・ジュネーブにあります。日本は1951年に加盟しました。 組織のトップは「事務局長」で、任期は5年間。現在はエチオピアで保健相、外相を務めた経歴を持つテドロス・アダノブ氏です。アフリカ出身者として初めての事務局長で、2017年5月に就任しました。
Q:何のためにできたの?
WHO憲章には「高い水準の健康状態で暮らすことは、人種や宗教、政治思想、経済・社会状況に関わらず、すべての人間の基本的権利だ」と記載されています。 「健康な生活は基本的人権」との考えのもと、今回の新型コロナウイルスを含む疾病対策、多国間調整、国際的な情報収集や分析、災害時対策などを担っています。
Q:活動はWHO単独でやっているの?
加盟各国と取り組むこともあります。また、非政府組織(NGO)や財団、研究機関とも共同で問題解決にあたることも珍しくありません。
Q:新型コロナ以外で、具体的にどんな活動をしているの?
安全な水の確保、大気汚染問題への対応も行っています。ポリオ、マラリア、インフルエンザ、HIV、癌(がん)や心臓病などの疾病対策にも取り組んでいます。各種ワクチン接種の推進にも注力しています。 地域別には、コンゴ民主共和国、ナイジェリアをはじめとするアフリカ大陸、イエメン、パキスタン、アフガニスタン、イラクなど東地中海地域に多くの予算が費やされています。
Q:米国とWHOの関係は?
WHOは各国からの拠出金や、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が妻と設立した慈善団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」などからの寄付によって運営費がまかなわれています。 中でも米国の拠出額は最も多く、15%程度に上ります(2019年時点)。しかし、トランプ大統領は新型コロナウイルスへのWHOの対応を批判。WHOからの脱退を決定しました。 次期米大統領のバイデン氏はトランプ大統領の決定を覆す姿勢を示しています。