みずほと楽天の資本業務提携で何が変わる? 対面×デジタルの強みを掛け合わせ、モバイル連携は「できない」
みずほはオープン戦略、カニバリを気にせず展開
今回の提携について、既存事業とのカニバリゼーション(共食い)の懸念がある。みずほフィナンシャルグループは既にクレディセゾンとの提携カードを展開している他、グループ内にUCカードとオリエントコーポレーション(オリコ)という2つのカードブランドを持つ。一方の楽天グループも楽天銀行を傘下に持ち、銀行業務を展開している。 これに対しみずほフィナンシャルグループの木原正裕CEOは、みずほの企業理念である「オープン戦略」を強調。「1人でやるよりもオープンでやった方が経済圏が広がる。みずほ自身のデジタル化も進めるが、他社と組んだ方が広がりがある」と説明した。クレディセゾンとの提携は継続するとしつつ、「多少の整理は必要だが、継続すべきものは継続する」と述べ、顧客のニーズに合わせた多様な選択肢を提供していく方針を示した。 楽天グループの三木谷浩史会長兼社長も「オンラインで相当なプレゼンスがあるが、オフラインではまだまだ」と述べ、デジタルと対面チャネルの補完関係に期待を示した。 みずほFGの楽天カードへの出資比率の14.99%という数字については、木原CEOは「慎重な性格なので、まずは持分法適用前から入ろうかなと考えた」と説明。三木谷会長兼社長も「双方での議論の結果、現時点では15%未満が適切と判断した」としている。楽天カードにとって重要な事業であることを考慮しつつ、段階的なアプローチを取る形となった。
モバイル事業での協業は慎重姿勢
会場からは「みずほ銀行の店頭で楽天モバイルを取り扱う可能性は?」との質問も飛び出した。日本郵政グループとの提携時にも同様の展開があったことを踏まえた質問だったが、木原CEOは即座に「銀行業法上それはできない」と否定する。 「金融は物を売る商業ではない」と規制上の制約を説明しつつ、「三木谷さんが喜ばれると思うが、業法の改正をしていただかないと」とちゃめっ気のある返答で締めくくった。モバイル事業での協業については、今回の提携の範囲外となることが明確にされた。
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