群馬県知事のアドバイザーは高校生……意見を聴くだけでなく実現する意義と難しさ
群馬県は、知事が高校生からアドバイスを受け政策にいかす「リバースメンター制度」を昨年度導入。提言を元に様々な年代が交流するeスポーツ大会を実施し、外国人医療について国に申し入れも行いました。こどもの意見を聴いて、政策にいかす意義と課題とは? ◇ ◇ ◇ 群馬県の「高校生リバースメンター」は高校生が知事の相談役となり、政策提言を行う全国初の取り組みです。昨年度始まり、今年度も応募した高校生から10人が選ばれ、生活の中で気付いた課題をあげ、改善策を考えている段階です。実は、去年4月に施行されたこども基本法は、こどもや若者に関連する政策については、こどもや若者の意見を聴くことを国と自治体に義務付けています。 群馬県では、昨年度、10人9チームがリバースメンターを務めました。現役官僚や専門家からアドバイスを受け、国内外の事例を調べるなど数ヶ月かけて練り上げた提言を昨年11月、山本一太知事にプレゼン。その後予算がつき、実現した提言もあります。昨年度の提言の一部を紹介します。 ⚫サイクルツーリズム✕リトリート(観光客が自転車で地域をめぐり情報発信を促進へ。提言した生徒と山本知事が草津町を自転車で走る動画を制作した) ⚫子宮けいがんへの関心を持ってもらい、ワクチン接種などで罹患率ゼロを目指す(女子生徒2人が考案したTikTok動画などを県のHPで公開し、生理用品に啓発のメッセージを付けて高校で配布。今後は9月に全国初となるショッピングモールでのHPVワクチン接種などを実施予定。2024年5月には厚生労働大臣とも面会した。) ⚫外国人が安心して医療を受けられる体制作り(医療通訳センターの新設のほか、行政や医療、救急、通訳が参加する協議会の設置などを提言。2024年5月、厚生労働大臣に面会し、実現を要望した。)
⚫校則改正手続きの県下統一ルールの制定(全国各地の高校の校則を調査している生徒が考えたもの。学校内で生徒が意見を言える環境を担保するため「学校民主主義条例」の制定や生徒・保護者が校則の改廃に参画することを法的に明記などを提言。県の対応は、各学校で実情に応じた対応をしつつ、教育委員会では校則見直しの意義などを周知。) ⚫eスポーツでコミュニティ作り(気軽に楽しめるようにeスポーツ公園を身近に作るなどの提言のうち、世代を超えて交流できる大会は2024年3月に開催された。) ⚫LGBTQへの理解を教育現場で(これを提案した生徒は、知事へのプレゼンで、男子生徒用の制服や髪型を望んだが、理解を得られずに苦悩した経験を語った。校則などによる制服や頭髪の男女の区別廃止、性的マイノリティの理解のための講演会への教員の参加を必須にすることなどを提言。県の対応は、校則の見直しは適宜進める、教員向けには引きつづき、LGBTQに関わる配慮を周知していくとなった。) ⚫桜の木を枯らす外来種、クビアカツヤカミキリを広げない対策(桜の木の実態を調査した生徒の提言。県として7月にこのカミキリを捕まえる市民参加のイベントを県内の公園で行った)