自民・石破氏、総裁選出馬会見 質疑応答(全文1)外交・安全保障政策はかなり違うかもしれない
イージス・アショア的能力は必要
そうなってくると、敵基地攻撃能力といっても、相手国領域攻撃能力といっても、この際、一緒に申し上げますけれども、そういうものを能力的に保持するとするならば、自衛隊の装備というものを相当に変えていかねばならん。そのためにはものすごい年月が掛かるというふうに承知をいたしております。 他方、イージス・アショアをやめるという話ですが、ではイージス・アショア的能力、要らないのかといえば、私は要らないと思っておりません。それはミサイル防衛能力を持った護衛艦が24時間365日、日本海にとどまっているということは海上自衛隊にとって大変な負担であります。それを軽減し、イージス艦っていうのはミサイル防衛専用艦ではありませんので、その高い能力は南西海域に回したいと。だから陸上にそれを移し、陸上自衛隊がそれを運用するという必要性は今もなんら変わっているものではございません。 しかしいろんな事情で秋田、山口には配備できないということであるならば、いろんな考え方がございますでしょう。レーダーは地上、ランチャーは無人島とかね。あるいはそのための、そのことに特化した船とかね。いろんな考え方があるだろうと思っております。イージス・アショア的な能力は必要だし、それでもなおブースターの被害があるということであるならば、それはシェルターを装備するということも併せて議論していかねばならないことだと思っております。
軍事合理性の見地から検証されるべき
じゃあ海上自衛隊がトマホークを持つんだということになったときに、それはいったいどこへ飛んでいくの? ということをきちんと確定しなければ、それを持っても意味がありません。その情報を合衆国から得られるかどうかということでありますし、そしてそれを日本だけの判断で撃つことができるかと。それはできないと私は思っております。それが個別的自衛権の行使であるとしたとしても、その情報を合衆国からいかに入れ、撃つということはいろんな状況を惹起することになりますので、そこにおいて合衆国との協議をどうするかということは、これは論じて答えを出していかねばなりませんし、トマホークは基本的に飛行機でございますので速度が遅いということがございます。そうするとそれが本当に有用なのかということは軍事合理性の見地からきちんと検証されるべきものであります。そういうのを、議論を捨象して相手国領域攻撃能力だというのは、かなり論理の飛躍があると思っております。 あの提言をまとめるに当たって、もちろん私も委員の1人でした。今のような意見は申し上げました。ただ私の意見のみが提言になってるわけではございません。それは小野寺さんであり、原田さんであり、そしてまた福田さんであり、大野さんであり、メンバーの方々であり、一生懸命、努力したものでありますから、自分の言ったことが入ってないからといってそれを否定するつもりはございません。ただ、そういう問題があるということを認識しながらやっていかないと、日本の安全保障体制に穴が開くということでございます。 私は集団安全保障の仕組みというのは極めて重要なものだと思っております。なんでヨーロッパ諸国があの冷戦を耐え抜いたのかというときに、NATOの存在というのは必要なものであったと思っております。それは集団安全保障のシステム、それは集団的自衛権と密接に関係するものでございますが、そのNATOが果たした役割は極めて大きいと考えております。ドイツは基本的に個別的自衛権を行使いたしません。かつてのナチス・ドイツの教訓に学んで基本、個別的自衛権は行使しない。集団安全保障のみに参加するというのがドイツの政策でございます。これをアジア地域において導入すべきだということは、これは長官のときから私は申し上げ、本にも書いておるところでございます。 ただ、その当時は各国、主にアジアは陸軍国でございます。そしてそれは国内の治安維持のために軍隊が使われてることは多ございました。海軍、空運、その能力にかなりの差がございましたが、それから20年近くが経過して、ずいぶんとその能力は上がってきたと思っております。