池江璃花子 闘病生活から1年経って感じていたこと「チームメイトから『退院1周年おめでとう』というメッセージが。本当にここまでよく戻ってきた」
女子競泳で活躍する池江璃花子選手は、2020年の東京五輪を目指していた18歳の時、急性リンパ性白血病と診断された。「絶望しかなかった」という状況だったにもかかわらず、不屈の精神で復活。“パリ五輪に出場する”という目標を掲げ、4年間闘い続けた。先日行われたパリ五輪では、惜しくも100メートルバタフライで準決勝敗退。リレー2種目(混合4×100メートルメドレーリレー、女子4×100メートルメドレーリレー)もメダルには届かなかったが、現在は2028年ロサンゼルス五輪へ向けての意気込みを表明し、歩み続けている。そんな彼女の4年間を記した初めての著書『もう一度、泳ぐ。』が刊行に。今回は、退院して1年を迎えた頃、2020年に綴られた記録を紹介する。 【書影】大病から5年。決して平坦ではなかったパリまでの道『もう一度、泳ぐ。』(著:池江 璃花子) * * * * * * * ◆“一緒にパリ五輪に行きたい” リオ五輪の400mリレーに一緒に出場した松本弥生さんと食事する機会がありました。 弥生さんとは10歳も離れていますが、可愛がってもらっています。 2年前、弥生さんが2年ぶりに競技復帰する時には、私に初めて相談してくれ、弥生さんもそんな気持ちで頑張るなら、私も4継で決勝に残ってメダルを獲るという目標を掲げて頑張ろう、という気持ちにさせてもらったんです。 そして自分も100m自由形の女子を強くするために引っ張っていかなくちゃいけないと思いました。 その直後に病気が判明し、目標は変わってしまいましたが、この日は弥生さんに「一緒にパリ五輪に行きたいから、そこまで頑張って」と伝えました。 弥生さんは、東京五輪に私と一緒に出たいようでしたが、五輪に出るのは簡単ではありません。私も段階を踏んでいかないとなりません。
10月のインカレの後、初めてピアスを開けました。本当は高校の卒業式の日に開ける予定だったんですが、病気になってしまい、開けられなくなってしまいました。ピアスもたくさん買ってあったんです。 移植から1年経ったので先生に相談して、開けてもいいよと言われた時は嬉しかった。先日、セカンドピアスを買いに行きました。左右別々ですごく可愛いものを見つけました。 ◆クリスチャン・リアリーファノ選手と対談 ラグビーオーストラリア代表のクリスチャン・リアリーファノ選手と対談しました。2016年に私と同じ白血病になり、その後復帰し2019年のW杯にも出場した方です。 アスリートはやはり闘病においても、メンタルは一般の人に比べると強いほうなんだと初めて分かりました。お互いアスリートとして病気の時に思っていたことは一緒でした。 リアリーファノ選手は、今もまだ病気のことを気にしながらプレーしているそうです。私も、病気はもう過去のこと、と思っていたけど、身体のことを気にするよう心掛けないといけません。