【いいクルマだったのに!】MR-S、プログレ、iQにマークXジオ!一代限りで終わってしまった名車たち:トヨタ編
トヨタ・ヴェロッサ(2001~2004年)
ヴェロッサは9代目マークIIの姉妹車にあたる後輪駆動車(4WD車もあり)。チェイサーとクレスタの後継車としての意味合いも持つが、どことなくアルファ・ロメオを思わせるイタリアン(風?)デザインをエクステリアに採用した。 「サウンドまでチューニングした」と謳うなど、チェイサーともクレスタとも異なるコンセプトで誕生。事実、エンジンはマークIIと同じ直6(2.5L/2.0L)のラインナップだが、ヴェロッサ独自の排気系チューニングが施されていた。 注目したいのは2002年に販売した限定車『ヴェロッサ・スペチアーレ』のVR25グレード。これはヤマハがチューニングを施した300ps仕様の2.5Lエンジン(1JZ-GTE型)と、ヤマハ・チューンのサスペンションを奢ったモデルで、ヴェロッサのイメージリーダー的な存在だった。 もともとマークII、チェイサー、クレスタの3きょうだいは、販売チャネルごとに仕立てを変えていた。ヴェロッサは一部を除きビスタ店での専売となっており、そうした意味ではクレスタの後継車となる。 総販売台数は4年間で約2万4000台(編集部調べ)とセールス的には成功したとは言い難いが、個人的には、高級パーソナルセダンとして新たなコンセプトを提案した心意気を買いたい。
トヨタMR-S(1999~2007年)
「MR-SはMR2の後継ではない」とトヨタは主張する。 その理由は専用プラットフォームを使ったライトオープンスポーツカーであり、ターボ車の設定がないことも挙げる。確かに1995年にMR-Sの原型と思しきコンセプトカー(こちらは4人乗りだが)の『MR-J』を発表し、2年後の1997年の東京モーターショーでは「トヨタ・スポーツ800の再来」と銘打って展示したことからも、それは真実だと想像できる。 そんなMR-Sのメカニズムで特徴的なのは、二代目MR2(SW20型)同様にFF(前輪駆動)車のエンジンを後方に移動し、基本コンポーネントを流用することでミドシップ化したこと。コストを抑えて軽量化(車両重量960kg~)もしていることだ。 エンジンは1ZZ-FE型の1.8L直4(140ps)で、トランスミッションは5速MTと新開発の5速シーケンシャルトランスミッション『SMT』が用意された。SMTは2ペダルだが、トルクコンバータを使う通常のオートマチックと違い、ギヤシフトにダイレクト感があり、MTに馴染んだ手練れが乗っても不満のない走りが可能だった。ちなみにMT、SMTともに2002年に行われたマイナーチェンジで5速から6速になり戦闘力、楽しさともに向上した。 サスペンションは4輪ストラットだが、コーナリングでは意外なほど足がよく粘る。オープンカーでもボディ剛性は高く、サスペンションや吸排気系などの合法チューンナップの余地も十分残されている、実に愉しいクルマだ。 2007年に販売を中止するが、それによってトヨタのスポーツカーの流れは2012年に86が出るまで途切れてしまう。ちなみに当時、TRDがチューニングしたMR-Sに乗せて頂いたが、最高にご機嫌な1台だったことはどうしても書いておきたい。