「子持ち様」問題…フォローする側も4割が「高ストレス」。アプリ活用の調査で判明、企業の制度でリスク減も
いずれも4割が「高ストレス」
今回の調査に応じた176人がストレスの大小を測定したタイミングは、「(子育て社員が)子どもの体調不良で早退したり、休んだりした日」と「その後の1週間」。300万人を超えるANBAIとストレススキャンの利用者の平均値を100とし、数値が「二日酔いに近い状態」とされる80を下回った人を「高ストレス」と判定した。 その結果、子育て社員は40.7%(35人)、フォローした同僚社員は36.7%(33人)が、それぞれ「高ストレス」と判定された。つまり、子どもの体調不良で子育て社員が早退したり、休んだりした場合、本人だけでなく、その分の業務をフォローする同僚社員も約4割が高ストレスと判定されたということだ。 ハフポストはこれまで、子育て社員をフォローしてきた同僚社員が業務量の不公平さなどに不満を募らせ、転職したケースを実際に取材した。子育て社員だけでなく、同様に高ストレスを抱える「支える側」にも目を向ける必要があることが、この調査結果から想像できる。 また、鈴木医師もこの結果について、これまでの経験や自身の調査からも「4割という数字は納得できる」とし、「職場で行うストレスチェックよりも“正直な結果”が出ているのではないか」と述べた。 企業で行うストレスチェックは自ら質問に答える方式が多く、「ばれたくない」などといった理由から回答者が高ストレスと判定されそうな回答を避ける傾向があり、潜在リスクが低く見積もられる問題が発生する。 鈴木医師は、「普通の顔をしていても実はギリギリの状態で働いている人は多い」と語った上で、次のように指摘した。「単純にやるべきことが増えるとメンタルヘルスとしてもハイリスクであり、高ストレスになるというのも頷ける。また、これは子育て社員に限った話ではないが、不公平感は職場全体のエンゲージメント低下にもつながる」
食事の時間に乱れ⇨高ストレス
一方、子育て社員、フォローした同僚社員のうち、約6割は「高ストレス」にならなかったり、一時的に高ストレスに陥るも3日以内に通常の数値にリカバリーしたりし、高ストレスと判定されなかった。 この違いを調べるため、DUMSCOの加勇田さんがGoogleフォームを通じて「いつもの食事時間と睡眠時間」を176人に尋ねたところ、高ストレスと判定された社員の多くは、食事と睡眠の規則性に乱れがあることが判明した。 まず、「食事をとる時間」について見てみると、測定期間中(当日とその後1週間)、高ストレスと判定された68人のうち、47.1%が「いつも食事をとる時間と計120分以上の開き」が生じていた。 例えば、子どもの体調不良で会社を早退した日、看病に付きっきりで自身の夕食をいつもより1時間遅くとったとする。翌日は出社したが、前日に早退した分を取り戻そうと残業したため、この日の夕食もいつもより1時間遅くなった。その結果、いつも食事をとる時間との開きが、2日間で計120分生じたということになる。 このほか、「計90~119分の開き」があった人も27.9%に上っており、高ストレスと判定された人のうち、4人に3人(75.0%)は「いつも食事をとる時間と計90分以上の開き」が生じていた。 一方、高ストレスと判定されなかった108人のうち、「計120分以上の開き」が生じていた人は10.2%しかいなかった。「計90~119分の開き」も13.9%と、いずれも1割台前半にとどまり、合計しても4人に1人の割合に満たなかった(計24.1%)。 子育て社員が早退したり、休んだりすると、家庭では看病に、職場では残業にそれぞれ追われ、いつもと同じ時間帯に食事を取れないことが多い。しかし、高ストレスと判定されなかった人たちの多くは、そのような状況の中でもいつもと同じように食事をとっていた、もしくはとれていたと言える。