学歴不問採用なのに「内定者、難関大生ばかり」になる理由…“落ちる就活生”が気づかない「大学名以外」のフィルター【キャリアコンサルタントが解説】
コロナ禍以降、早期化している採用活動。採用人数や選考時期といった基本的な情報は、説明会やインターンシップで集めなければ得られません。そのためいかに早く動き出すかが就活の肝となる一方、現在の就活生は、意識の差から「優秀層」「普通層」「うっかり層」へと三極化しています。事実上存在する学歴フィルターを突破し、激変した就活戦線を乗り切るにはどうすればよいのか。キャリアコンサルタント・森田昇氏の著書『生涯収入を最大化する「就活の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
------------------------------------------------------ <三極化している現在の就活生> (1)大学3年生春、夏のインターンシップ前から早期に就活して複数社内定GETする「優秀層」 ←実際に難関大生が多い (2)大学3年生秋、冬のインターンシップ前から動き出して2、3社内定GETする「普通層」 (3)大学4年生春、就活解禁に合わせたら周りが内定GETしていて慌てる「うっかり層」 ------------------------------------------------------
「学歴不問」の真の意味
就活ではどの大学生であれ、「大学卒業見込み」であれば、よほどの専門業界や職種でない限り応募基準を満たします。これが就活における学歴不問の意味ですが、だからといって「Fラン大生でも採用してくれるよね、だって学歴不問なんでしょ?」ではありません。過去に多くの企業がES等の選考書類に大学名を記載しなくていい、学歴不問採用を実施した結果、難関大生ばかり採用してしまった、という笑えない話がありました。 その原因は、企業の採用ページを見ると何となく想像がつきます。経営層や社員の学歴を見てみると、ごく限られた大学名しか出てこない企業があります。これはあらかじめターゲット大学を決めていたわけではなく、創業から歴史の長い財閥系企業や経営層・採用部門全体の学歴が高い企業では、学歴を重視する採用担当者が多いこともあり、ESや面接で何となく出身大学に気付いてしまって偏りが生じた。そんなケースです。 そこで、大半の企業は大学名を明記する採用方法に戻しました。どうせ類似性バイアスで偏るんだったら、むしろ学歴を最初から参考にすればコスパもタイパもいい、ということでしょう。あくまで学歴は参考にしか過ぎない、とはどの採用担当者も言っていることなので信用していいでしょう。 具体的な大学名を出さなくても、ESや面接時の受け答え、特に自己PR系でなんとなく想像できてしまいますし、逆学歴フィルターとしてあまりに出身大学が偏り過ぎた場合は、多様性を確保するために敢えて応募少数の大学出身者に内定を出す場合もあります。そのため、学歴不問でも、そうでなくても実は大差ありません。 それよりも、卒業に必要な単位を取得できなかった、ではせっかく内定を獲得できても卒業できなくなった時点で内定取消になるケースがほとんどですので、就活と並行しても学業は決して疎かにせず、頑張って単位を取得して「大学卒業見込み」の肩書きだけは何としても死守してください。私は大学4年生のときは残り2単位のみ、と単位を取得することだけは「優秀層」でした。1年次の必修科目を取り忘れていた「うっかり層」でもありましたが。