「子持ち様」問題…フォローする側も4割が「高ストレス」。アプリ活用の調査で判明、企業の制度でリスク減も
同じ傾向は睡眠でも
同様の傾向は、「睡眠」でも見てとれる。 高ストレスと判定された68人のうち、52.9%はいつもより寝るのが「計120分以上遅くなった」と回答。「90~119分遅くなった」(25.0%)を合わせると、いつもより寝るのが「計90分以上遅くなった」と答えた人は、77.9%に上った。 一方、高ストレスと判定されなかった108人で、いつもより寝るのが「計120分以上遅くなった」と回答した人は6.5%。「90~119分遅くなった」人は18.5%で、これらを合わせても25%にとどまった。 イレギュラーな生活や仕事になったとしても、いつもとほとんど変わらない時間に寝ている、もしくは寝られる人たちの多くは、「高ストレス」と判定されない傾向にあると言える。
「適切な状態」にしようと思ったら…
鈴木医師は、食事や睡眠とストレスの関係について、「不規則な睡眠や食事は生体リズムを破壊する」と言及する。 人間の体はもともと、太陽とともに覚醒し、夜になると活動性を落として休息するという生活リズムが、最もエネルギー効率がよくなるよう遺伝的にデザインされている。起きる時間の2~3時間ほど前には、血圧や血糖値を高める「コルチゾール」というホルモンが出るが、このホルモンの助けなしに起床することは「とてもしんどい」という。 正しい時間に正しいホルモンが出なければ生産性を維持するのが困難になり、メンタルヘルスのリスクにもなる。 鈴木医師は、「特に不規則な睡眠の影響は大きく、睡眠時間が少なくなればなるほどうつの発症率が高まる。夜勤の経験者は未経験の人に比べて死亡率が11%高くなることなども知られている」と話した。 ただ、子どもを看病したり、その分の仕事をカバーしたりすると、食事や睡眠をとる時間がどんどん後回しになってしまう。どうすれば規則正しい生活に戻せるのか。 鈴木医師は、日本うつ病学会が発表している「ソーシャル・リズム・メトリック」という概念を用いることが有効だとする。 ソーシャル・リズム・メトリックとは、起床時間や食事、人と話した時間などを記録してモニタリングすることで、生活リズムを整え、症状の安定化を目指す方法のこと。主に双極性障害の人などに用いられている。 何かと忙しい現代人は夜型の行動をしている人が多いとし、「睡眠だけでなく、血圧や体重、お金の管理も一緒で、何かを『適正な状態にしよう』と思ったら、まずは計測・記録することが大事」と語った。 もし、記録を見て「夜型にずれてきた」と感じた時は、朝の時間帯(特に午前9~11時)に太陽のもとで活動し、目線を空のほうになるべく向けることを意識すると良いという。