四冠と三冠の頂上決戦…一力遼棋聖×井山裕太王座、第49期棋聖戦七番勝負16日開幕
囲碁界の最高位を争う第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催、特別協賛・サントリーホールディングス)は16日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で開幕する。昨年は世界戦を制し、4連覇を目指す一力遼棋聖(27)に、タイトル最多獲得記録を塗り替え、棋聖奪還を期する井山裕太王座(35)が挑む。七大タイトルのうち四冠を保持する棋聖と、三冠の挑戦者との頂上決戦だ。山下敬吾九段(46)に七番勝負を展望してもらった。(文化部 川村律文)
4連覇へ「楽しんで」戦う…一力遼棋聖
昨秋は、応氏杯世界選手権で優勝し、名人を獲得しました。世界戦で優勝できたことは、自分にとって大きな自信になりました。名人戦七番勝負は、負けた対局で課題も見えましたが、今持っている自分の力は出し切れたと思います。
名人戦七番勝負の前後に世界戦を打つという、経験したことがないスケジュールだったのですが、目の前の一着、一局に集中するというのはこれまで取り組んできたことでもあります。大一番が続くと勝つことも負けることもある。切り替えて次に向かうという面では、以前より進歩したと感じています。
棋聖戦では、昨年に続いて井山さんとの七番勝負になりました。厳しい相手が上がってきたという印象です。棋聖リーグは苦戦していた印象でしたが、4勝1敗でまとめたのはさすがです。挑戦者決定三番勝負の対局も1局を通して局面をコントロールしていました。
昨期の七番勝負は紙一重の内容でしたが、第6局で追いつかれても焦ることはありませんでした。第6局までずっと白番が勝つ展開でしたが、黒番でも大丈夫だと、自分を信じて打ちました。ここ数年は何度も七番勝負を経験して、準備なども自分のペースが出来上がりつつあります。井山さんとの対局だと、序盤からお互いに研究を外すこともよくあるので、その辺りも楽しんでいければと思います。
応氏杯の優勝後は、取材対応やイベントなどで忙しくはなりましたが、囲碁界を盛り上げることは、なるべくやっていきたい。何度も経験してきていることなので、自分なりにうまく切り替えてやっていきたい。(河北新報社の)取締役になりましたが、仕事とのバランスの取り方も少しずつできてきました。タイムマネジメントに関しては意識しますし、勉強時間を増やすよりも、体調管理に重きを置いています。