四冠と三冠の頂上決戦…一力遼棋聖×井山裕太王座、第49期棋聖戦七番勝負16日開幕
世界戦を制し、四冠になったことで、「恥ずかしい碁は打てない」「タイトルにふさわしい内容を見せたい」という気持ちがこれまで以上に強くなりました。今の自分のベストを見せたいと思います。
いちりき・りょう 1997年生まれ、宮城県出身。宋光復九段門下。2010年夏季入段。22年の第46期棋聖戦で棋聖を初めて奪取すると、昨期は井山裕太王座を4勝3敗で下して、3連覇を達成した。昨年9月には「応氏杯世界選手権」で、日本の棋士として19年ぶりの主要国際棋戦優勝を果たした。同10月には名人を初奪取し、天元、本因坊と併せて四冠となった。
一力さんは棋士として脂が乗っていて、打ち盛りだと思います。昨年は応氏杯で優勝しました。今までなかなか勝てなかった世界戦で一つ結果を出して、充実しています。粘り強さも感じますし、一瞬の隙を逃さない強さがある。
ただ、やるべきことができれば、チャンスは十分あると感じています。昨年の七番勝負は内容的にまずまずやれたとは思うのですが、勝負どころでミスが出た。そこの精度を上げていきたい。簡単に土俵を割らないことも必要になる。相手よりも、まずは自分ができる一番のパフォーマンスを目指したい。
一力さんとの公式戦は、ちょっと間が空きました。お互い妥協するタイプではないので、どうしても激しい展開になることが多かったのですが、また違ったものを見せたい。これまでも序盤で様々なアイデアを試してきましたが、まだ碁にはいろんな可能性があると感じています。普段の対局とは異なり、2日制の長丁場だから試せることもある。そういう手を、一つでも多く表現したい。
昨年は棋聖奪取こそなりませんでしたが、十段を獲得して、気持ちが少し楽になりました。世界戦でも手応えを感じる戦いができましたし、大きく調子を落とすことなく来られました。