四冠と三冠の頂上決戦…一力遼棋聖×井山裕太王座、第49期棋聖戦七番勝負16日開幕
Sリーグでは2回戦の孫喆七段との対局を勝ちきれず、その後の2局もはっきり負けの場面があった。そこを乗り切れたのは、ツキがあったと感じます。挑戦者決定トーナメント決勝三番勝負での山下敬吾九段との碁も、自分なりにはまずまず打てました。
年齢を重ねて、体調面を含めて気を使うことが増えました。よりいいコンディションで臨むために、運動を時々したり、睡眠を大事にしたりと、基本的なことに気をつけています。いい調子で開幕を迎えて、昨年以上のパフォーマンスを見せたい。今のありのままの自分を表現して、見どころのある戦いにしたいと思います。
いやま・ゆうた 1989年生まれ、大阪府出身。石井邦生九段門下。2002年入段。16年に囲碁界初の七冠を達成。一度は六冠に後退したが、17年に2度目の七冠を達成し、18年に国民栄誉賞を受けた。昨年は十段を奪取し、碁聖を防衛。12月に王座4連覇を果たし、タイトル獲得数を史上最多の77とした。七大タイトル獲得数の62も最多記録。棋聖位は第37期から9連覇を果たした。
終盤力の一力、シノギの井山…山下敬吾九段が展望
今期の七番勝負は、お互いに負けられない戦いだと思います。一力さんは残るタイトルがあと三つ。井山さんをここで倒せば、七冠が見えてくる。井山さんも最近は七番勝負で勝てていない。一力さんに勝てないという印象が付きかねません。
一力さんは本当に充実しています。応氏杯で勝ったことが大きい。世界でもある程度戦えるとは思っていたでしょうけど、試合で勝って結果が出て、やれるという自信を深めた。読みや形勢判断のスピードは速いですし、終盤の判断能力は日本では抜けているという印象も受けます。早碁から2日制まで、どんな持ち時間でも対応できる。疲れがたまっている点と、忙しくて研究の時間が取れないことは心配ですが、スケジュール管理はしっかりしているので大丈夫でしょう。
井山さんはSリーグでも苦しみながら勝ち上がってきました。底力や勝負強さは維持していると思います。以前は序盤からしっかり時間を使っていましたが、布石をすごく研究していて、今は序盤は早く打って、後半に時間を取っておくというスタイルが確立している。井山さんといえども、35歳になって、以前よりは秒読みでの正確性に衰えが出てもおかしくない。そこに対しても準備をしていて、合理的ですね。