何がCSファイナル進出を決めた巨人と阪神の明暗を分けたのか…痛恨失策と重圧かけた守備力にチーム戦略の差
クライマックスシリーズのファーストステージ第2戦が7日、甲子園で行われ、3位の巨人が2位の阪神に4-2で逆転勝ち、第1戦に続く連勝でファイナルステージ進出を決めた。阪神の青柳晃洋、巨人の高橋優貴の両先発が序盤に崩れて早期KOされるという展開になったが、巨人は3回に故障でベンチ外の岡本和真の代役4番に座っている丸佳浩の逆転の2点タイムリー、8回には追加点につなぐきっかけとなるセーフティーバントを決めるなどの活躍があり8人の投手を注ぎ込んで4―2で逃げ切った。阪神は2つの手痛いエラーが失点に絡んだ。巨人と阪神の明暗を分けたものは何だったのか。
記録に残らなかった2つのミス
晩秋の甲子園が異様に静まりかえった。巨人“守護神”ビエイラの雄叫びだけが2万人の虎党が駆け付けた球場に響く。2点を追う9回。ビエイラを二死一、二塁まで追い詰めたが、長打が出れば同点の場面でロハスのバットはアウトコースの変化球に空を切った。 レギュラーシーズンでは13勝9敗3分と14年ぶりに阪神が巨人に勝ち越していたが、CSという短期決戦では一矢を報いることもできずに連敗。ヤクルトへのリベンジを果たす舞台へ進むことはできずセを熱くした2021年の戦いは終わりを告げた。 各社の報道によると、試合後の共同インタビューで矢野監督は、「最後も勝ち切れなかった。チーム全体としての成長も必要。もちろん僕自身の成長も必要」と語り、悔しさを隠さなかったという。 阪神と巨人の明暗を分けたものは何だったのか。 阪神OBでもあり、巨人、楽天、西武などで“参謀”を務めた現・新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏は、2試合をチェックして、こんな感想を抱いた。 「CSという短期決戦に慣れた巨人とそうでない阪神の経験の差が出た。阪神は2位なのだから引き分けでいいのに3位のチームのような野球をしてしまっていた。投手力も含めたチームの力を出し切れず、もったいない戦いになった。負けたら終わりのゲームでの相手チームへのプレッシャーのかけ方、細かい野球の部分の差だったのかなと思う」 明暗を分けたひとつが守備力だ。 2点を先制した阪神は3回、巨人先頭の吉川のショートへの力弱いゴロに突っ込んできた中野がグラブに当てながら弾いた。そこから大城、代打・八百板、松原の3連打で1点を返された。さらに無死満塁から「記録に残らないミス」が出る。青柳は若林をホームゲッツーにおあつらえむきのピッチャーゴロに打ち取ったが、本塁への送球がフワっと高く浮き、手を伸ばした梅野が本塁封殺はしたが併殺を成立させることができなかった。このひとつのアウトの取り逃がしが丸のライトへの逆転2点タイムリーを生むことになる。