下瀬美術館がユネスコ「世界で最も美しい美術館」最優秀賞のベルサイユ賞を受賞
12月2日、広島県大竹市にオープンした下瀬美術館(設計:坂茂)が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)における建築の最優秀賞「ベルサイユ賞」を受賞した。 ベルサイユ賞とは、2015年にユネスコの本部で創設された建築賞で、世界中の空港、商業施設、ホテル、スポーツ施設など8つのカテゴリーを対象に著名な建築家や哲学者らの審査によって選出されるもの。各部門でノミネートされたなかから3施設に対して、最優秀のベルサイユ賞、内装特別賞、外装特別賞といった3つの賞が授与されてきた。賞の創設から10周年を迎える今年は、新たに「Museums」(美術館・博物館)のカテゴリーが登場。下瀬美術館は同カテゴリーからの選出・受賞となった。 下瀬美術館のプロジェクトは多くのものを表現していると思います。例えば、色使いが非常に興味深く、とても珍しいと言えます。博物館ではこのようなカラフルなデザインはあまり見られません。またこのプロジェクトは「軽やかさ」をも同時に表現しています。外部と内部の融合が見事で、これが審査員に大きな感銘を与えたのだと思います。(中略) 世界ベルサイユ賞機構 事務総長 Jérôme Gouadain (コメントより一部抜粋) 今回の受賞について設計を担当した坂茂、同館代表理事の吉村良介はそれぞれ次のようにコメントしている。 下瀬美術館は瀬戸内海に面した約400メートル幅の美術館で、環境を最大限にいかしました。水に浮いて動くギャラリーや木造の建築など色々なイノベーティブなものが評価されたと考えています。自由に設計させていただいた初めてのチャンスで、下瀬ゆみ子館長をはじめ多くの関係者の皆様に感謝しております。 建築家 坂茂 坂先生にこの美術館の設計をお願いした際、先生は瀬戸内海の島々をご覧になられ、多島美を表現したいとおっしゃいました。そして、色とりどりのキューブで構成された「可動展示室」のイメージを見せていただきました。その建築パースを見た瞬間、動かせる美術館という世界初の美術館建築を実現しなければならないという強い思いを抱きました。 (中略) 2023年3月のオープンから、世界中から数多くのお客様をお迎えしております。今後も多くの方に訪れていただき、下瀬美術館並びに瀬戸内の多島美の美しさをご覧いただけると幸いです。 下瀬美術館 代表理事 吉村良介 (コメントより一部抜粋)