アインシュタインが論文に書いた宇宙の形とは?「宇宙の形が3次元空間R3ではなく『3次元球面S3』だったら……」
4次元立方体は、4次元空間で連続変形できる
それでは次元を上げて考えましょう。 1個次元を上げると、「中身が空の立方体(3次元立方体)」は同様にして、角を丸めて球面(2次元球面)に3次元空間R3の中で連続変形できます。そういう意味では、これらは同じものです。 「中身が詰まった立方体」は角を丸めて球体に、3次元空間R3の中で連続変形できます。そういう意味では、これらは同じものです。これは日常感覚でわかると思います。 さて、もう1個次元を上げると、「中身が空の4次元立方体」は、角を丸めて3次元球面S3に、4次元空間R4の中で連続変形できます。そういう意味では、これらは同じものです。 さらに、「中身が詰まった4次元立方体」は、角を丸めて「4次元球体」に、4次元空間R4の中で連続変形できます。そういう意味では、これらは同じものです。
4次元球体とは何か?
4次元球体という語は初登場ですので説明します。 高校までの数学の授業で球面といっていたのは、2次元球面S2でした。また、球体といっていたものは3次元球体です。このことから4次元球体を類推してください。 4次元球体とは、座標x, y, z, tで特徴づけられる4次元空間R4の中で {(x, y, z, t)|xの2乗+yの2乗+zの2乗+tの2乗≦1} という式で表される図形です。 高校までに習ったとおり3次元球体は、 {(x, y, z)|x 2+y 2+z 2≦1} で特徴づけられます。これの次元を1個上げたものです。ここで、「中身が詰まった4次元立方体」は4次元の図形ですが、「中身が空の4次元立方体」は3次元の図形です。次元の数が何かに注意して、以下から類推してください。 中身が詰まった3次元立方体は、3次元の図形ですが、中身が空の3次元立方体は2次元の図形です。 図4をご覧ください。これが、4次元空間R4の中で行った操作です。中身が空の4次元立方体を変形して3次元球面S3を作っています。 それでは、以降の記事では、さらに次元を上げて5次元を見ていくことにします。より高次元の世界に突入できるか、ぜひ挑んでください。
小笠 英志(数学者)