50代の医学者が仰天…「鍼を使った治療」で「首の痛み」がみるみる消えた、その驚きの効果
鍼灸や漢方薬などの「東洋医学」に世界中から熱い視線が注がれている。慢性的な痛み、うつ病……多くの症状に驚きの効果を発揮するというのだ。研究の最前線を追った。 【図解】プロがすすめる「最強のツボ」4選はここにある!
「ツボの力」に世界が驚いている
東洋医学の研究者である昭和大学医学部教授の砂川正隆氏はかつて、身をもって「鍼の威力」を実感したことがある。 「5年ほど前、首のヘルニアで耐えられないほどの激痛に苦しみました。整形外科にかかってクスリをもらいましたが、痛みは一向に引かない。苦しい状態が1週間ほど続いたころ、知り合いの先生に首や肩の周辺に鍼を打ってもらいました。するとそれまで眠れないほどひどかった痛みが驚くほど改善したんです。あらためて鍼の効果を痛感しました」 鍼灸や漢方薬を中心とする東洋医学と聞いて、どのような印象をもつだろうか。「効果はありそうだが、ちょっと胡散臭い」といった見方をする人もいるかもしれない。 しかしいま、そうした見方はくつがえされつつある。「科学」の視点から東洋医学の研究が進み、鍼灸や漢方薬の効果が次々と裏づけられるようになってきたのだ。5月19日に放送されて大反響となったNHKスペシャル『東洋医学を”科学”する』のディレクターで、このほど刊行された『東洋医学はなぜ効くのか』(講談社)の共著者でもある山本高穂氏が言う。 「科学の世界から東洋医学への関心は確実に高まっています。それは研究の数に如実に示されています。漢方薬や鍼灸の臨床試験の報告数は、'00年は100強でしたが、近年は500を超える年も出てきている。中国の研究が増えている影響は大きいですが、欧米でも研究の数が増えています」 世界的な関心はこんなところにも見られる。世界最強の軍隊である米軍でも、耳のツボを使った治療が行われているのだ。「戦場鍼治療」という手法で、長さ3mmほどの鍼で耳ツボを刺激し、痛みを緩和する。 「腰痛に悩む隊員の治療に立ち会ったのですが、両耳に鍼を数本刺しただけで痛みが大幅に軽減されたと言っていました」(前出・山本氏) いわば世界がその効果に驚いているわけだが、実際のところ東洋医学は、どのような不調に効果があるのか。この章では、鍼灸の根幹にある「ツボ」について見ていこう。