50代の医学者が仰天…「鍼を使った治療」で「首の痛み」がみるみる消えた、その驚きの効果
ツボの正体
そもそもツボとはなにか。前出の砂川氏が言う。 「ツボとは、体に不調があるときに反応が出る『反応点』であり、そこを刺激すると症状が改善する『治療点』のことです。歴史は2000年以上に及び、『ここを刺激すると症状がよくなる』といった『経験知』として蓄積されてきました。 近年では研究が進み、たとえばある動物実験では、マウスを人工的に胃炎にすると背中の何ヵ所かに『肥満細胞』という免疫に関わる細胞が集まることが示されました。 肥満細胞は鍼刺激によって活性化し、『アデノシン』などの物質を放出して、生体が本来もつ治癒力を高めると考えられています。このように、不調に反応したり、治療のカギを握ったりする場所が存在することが裏づけられてきているのです。 ただ、肥満細胞の関与はツボのしくみの一部を説明するにすぎません。'08年にWHOが『標準経穴』という呼び名で361のツボを公表しましたが、メカニズムについてはまだ解明されていない部分も残されています」 それでは、ツボはどんな症状に効果があるのか。 「『痛み』の改善は、ツボのもつ効果のなかでも重要なものだと思います」 こう語るのは、明治国際医療大学鍼灸学部教授の伊藤和憲氏だ。 「私が治療した例では、たとえば、長い間ひざの痛みに苦しんできた患者さんが、ツボを鍼灸で刺激することによって症状が改善したというものがあります。この方は痛みのせいで外出すら難しかったのですが、治療後はゲートボールなどのサークル活動に参加できるまでになりました」 では、それはどのようなメカニズムで効果をもつのか。後編の記事「クスリを大幅に減らせることも…ついに「科学」が認めた「鍼治療」のスゴすぎる」でくわしくお伝えしよう。 「週刊現代」2024年6月1日号より
週刊現代(講談社)