リヴァプール元主将が語る30年ぶりのリーグ制覇。「僕がトロフィーを空高く掲げ、チームが勝利の雄叫びを上げた」
全員で泣いて、抱きあって優勝を祝った
試合終了のときを待つ。ホイッスルが鳴ると、僕もついに祝福した。シティは僕たちから23ポイント離され、残り7試合では追いつくことができない。決まった。リヴァプールは30年ぶりにリーグ優勝を飾った。ようやく、僕はチームがそれを成し遂げ、もう誰にも奪われることはないと認めた。全員で抱きあい、ハイタッチをし、歌をうたった。喜びが爆発した。全員が集まっていたからこそ、それは特別な瞬間になった。 僕は感情が表に出るタイプだ。普段、ピッチの上でも感情をむき出しにしているが、このときはそんなものではなかった。彼らにとってどれほど大きなことかを思うと、感情があふれ出した。全員で泣いて、抱きあって優勝を祝った。なかには生涯のリヴァプールファンだという選手もいて、リーグ優勝したチームの一員であることが彼らにとってどれほど意味があるかに気づいた。 特別な夜になった。母と父に電話をかけ、話をすると、涙があふれてきた。父はうまく話せなかった。電話に出ているのはわかるのだが、こちらから声をかけても言葉は返ってこなかった。切れたのかと思ってスマートフォンの画面を見たが、それからようやく、つながっているけれど返答できないのだと気づいた。しばらくして、父はようやく言葉を絞り出し、僕とチームを誇りに思う、と言った。父の思いの深さに心を打たれた。胸がいっぱいになった。 電話を切ると、真っ赤になった目を隠すためにサングラスをかけ、少し落ち着きを取り戻してから2階に上がり、インタビューを受けた。フォームビー・ホール・ホテルにはチームとともに隔離されている人々しか入れなかったから、当然テレビ局もいない。ノートパソコンの画面上でスカイニュースと話をした。そのインタビュー中に、僕は席を立たなければならなかった。あまりに大きな感情に飲みこまれてしまったためだ。 ユルゲンも同様だった。スカイニュースのカメラは数か所に接続されていて、そのひとつがケニー・ダルグリッシュのところだった。ユルゲンはケニーの姿を見てこらえられなくなったようだ。ロンドンのスタジオにいたジェイミー・レドナップから声をかけられたとたん、涙が出てきた。 ジェイミー・キャラガーは、自宅にカメラが設置されていた。彼が明るくシャンパンの栓を抜き、「酔いつぶれるまで飲もう」と言ったとき、笑いがこらえられなくなり、そのあとすぐに席を外した。