乳がん検診はどのくらいの頻度で受けるべき? 専門医のお勧めと理由とは?
乳がんによる死亡率を減少させるために、乳がん検診は重要な役割を果たしています。しかし、一体どれくらいの頻度で受ければ良いのか、明確な基準はあるのでしょうか? めぐみ乳腺クリニックの竹原先生に教えてもらいました。 【イラスト解説】「乳がんの原因」となる食べ物とは [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
乳がん検診は、どれくらいの頻度で受けるべきか?
編集部: 乳がん検診は毎年受けた方が良いのですか? 竹原先生: 現在、日本の自治体はがん検診を実施し、受診を促しています。自治体が実施している検診は、自治体によって頻度や内容が異なっていますが、乳がん検診は「40歳以上の女性を対象に、2年に1回」の頻度で受けることが推奨されています。 ただし、2年に1回の頻度で受ける場合には、検診の合間に自己検診を継続すること、異常を感じた場合は病院を受診することが必須とされています。 編集部: 自治体が実施しているがん検診を受けていれば、人間ドックなどでの乳がん検診は不要ですか? 竹原先生: まず、あまり知られていませんが、検診には2種類あります。国が推奨しているがん検診は「対策型乳がん検診(住民検診型)」と呼ばれており、国全体の乳がん死亡リスクを低下させるのが目的です。 これが自治体がおこなっている検診で、基本的には2年に1回とされています。 一方、個別に医療機関や人間ドックなどで受診する乳がん検診は「任意型乳がん検診(人間ドック型)」と呼ばれ、個人の乳がん発見率を高め、死亡率を減少させることを目的にしています。こちらは頻度に決まりはありません。 編集部: そうなると、結局どれくらいの頻度で受ければ良いのでしょうか? 竹原先生: 年齢によっても異なりますが、40歳から60歳代までの女性は最も乳がんにかかるリスクが高い年齢層ですので、毎年1回、乳がん検診を受けることをお勧めします。 また40歳未満でも、親や姉妹で乳がんにかかった人が複数いるなど、乳がんの発症リスクが高い場合は、40歳になるのを待たず、検診を受けることをお勧めします。 編集部: 40歳未満で、身内に乳がんにかかった人がいない場合は、検診を受けなくても良いのですか? 竹原先生: いいえ、必ずしもそういうわけではありません。しかし、発症率を考えると、40歳未満の方が乳がんになる確率は、40歳以上に比べて高くありません。 また40歳未満の方に限ったことではありませんが、検診の結果、乳がんがないにも関わらず「精密検査が必要」と判定されるケースも少なくありません。このようなケースを偽陽性といいますが、それによる精神的負担はとても大きくなります。 編集部: 若い人が乳がん検診を受けると、デメリットもあるということですね? 竹原先生: そうです。検診を受けることのメリットとデメリットを天秤にかけた結果、日本は対策型乳がん検診を実施するのを「40歳以上」と推奨しているのです。 しかし20代や30代で乳がんを発症する方もいるため、日頃から自分の胸を観察したり、触ったりして、異常がないか確認する習慣をつけることが大切です。そして気になることがある場合は病院を受診するようにすることも大切です。