乳がん検診はどのくらいの頻度で受けるべき? 専門医のお勧めと理由とは?
年代によって異なる検査の項目
編集部: 乳がん検診にはいろいろな項目がありますが、何を受けたら良いのでしょうか? 竹原先生: 一般的に、40歳以上の方はマンモグラフィ、またはマンモグラフィと超音波検査の併用で、40歳未満の方には超音波検査が推奨されています。 編集部: それはなぜですか? 竹原先生: マンモグラフィは乳房専用のレントゲン検査なのですが、正常な乳腺は白く、脂肪組織は黒く写し出されます。しかし若い人の場合、乳腺が濃く白く写る「高濃度乳腺」であることが多く、特に欧米人に比べて日本人女性にはその傾向が強いことがわかっているからです。 編集部: 高濃度乳腺だと、マンモグラフィでがんを見つけるのは難しいのですか? 竹原先生: はい。マンモグラフィでは乳腺が白く写りますが、がんも白く写ります。正確にはがんの方がより白く写るのですが、乳腺が白く濃く写る「高濃度乳腺」の場合は、がんの白さを見つけにくくなります。 そのため、40歳未満には超音波検査が推奨されています。ただし乳腺濃度には個人差があります。自分の乳腺濃度を知っておくことは今後どのような検診内容を受けると良いかの目安になるので、40歳未満でも一度はマンモグラフィを受けても良いかもしれません。 編集部: マンモグラフィと超音波検査では、特徴が異なるのですか? 竹原先生: はい、マンモグラフィと超音波検査では見える病変の得意とする分野が異なります。マンモグラフィの特徴は石灰化や乳腺の全体像を捉えやすいということです。また撮影方法が定められているため、過去の画像と比較しやすいというメリットもあります。 編集部: 超音波検査は? 竹原先生: 一方、超音波検査は小さなしこりやマンモグラフィでは見つけにくい高濃度乳腺のなかのしこりを見つけたり、しこりを質的に診断できたりするという特徴があります。しかし、超音波検査では石灰化を評価しづらいというデメリットがあります。 編集部: それぞれメリットとデメリットがあるのですね。 竹原先生: はい。マンモグラフィでも超音波検査でも見える乳がんが大半ですが、乳腺の濃度やしこりの状況、石灰化などにより、どちらか一方の検査でしか見えない乳がんもあるのです。 ただ、現時点では「継続的に検診を受けることによって乳がんの死亡率が低下する」と科学的に立証されているのは、マンモグラフィのみとなっています。 編集部: そうなると、40歳以上はマンモグラフィだけ受ければいいのではないでしょうか? 竹原先生: いいえ。それぞれ得意とする分野が異なるので、補完する意味合いで、乳がん発症率の高まる40歳以上の方へはマンモグラフィと超音波検査の併用での検診をお勧めしたいと思っています。 自治体検診におけるマンモグラフィと超音波検査の併用による効果については現在、研究が進められています。