「D.P.―脱走兵追跡官―」原作者キム・ボトンの普通の中にある特別な物語の探し方
ボトン:予定通りにいけば、アメリカのスタジオと映画やドラマの制作をしたり、監督を引き受けることにもなるかもしれません。少し前はドラマや映画は国内向けに消費されていましたが、ネット配信の登場で、国や人種、文化などあらゆる価値観を持った視聴者たちも共感や理解のしやすいストーリーが求められるようになっています。そういった時代の流れによって、国を超えて活動する機会が増えていくのではないでしょうか。
キャリアとは違う話ですが、冬は沖縄で暮らそうと思っています。コロナ前までは、1年に半月~1カ月くらいを沖縄で過ごしていたので、5年以内には沖縄に拠点を作りたいです。
――作家になる前、大企業をやめたすぐあとにも沖縄旅行をされていたそうですね。
ボトン:沖縄を愛してます、大好きです。私にとって沖縄はとても重要な場所で、もう1つの故郷であり作家としての始まりの地です。沖縄自体はあまり変わっていないですが、訪れる度に、自分自身の内面の変化や取り巻く環境はめまぐるしく変化していることを実感します。沖縄を定期的に訪れ、挫折や孤独感でいっぱいだったあの頃を振り返るための重要な地でもあります。
――キャラクターを作る上で衣装ファッションの重要性をどのように考えていますか?
ボトン:過去から制作中の作品まで衣装は毎回重要です。現在、病院や軍隊、学校がそれぞれ舞台になったストーリーを作っていますが、キャラクターの性格やアイデンティティーを示すものとして欠かせません。例えば「D.P. -脱走兵追跡官-」の場合、主人公は憲兵なので軍服ではなく私服を着ているんですね。憲兵になり軍服から私服に着替える時に、主人公は元々貧しくて着ることができなかった「ナイキ(NIKE)」の服を着て大喜びするシーンがあります。ファッションは一種の階層を表すものでもありますよね。自分自身ファッションにとても関心があるので、日本を訪れた際は街を歩いている人たちが着ている洋服を観察しています。韓国と日本ではファッションのスタイルも全く違うので、注意深く記憶に留めています。