クリスマスの新定番「モスチキン」開発秘話。ルーツは日本人になじみ深い「意外な食べ物」だった!
■アメリカのハンバーガーを日本風にアレンジ 「医食同源」にも取り組む ここであらためて、モスバーガーの紹介です。 1号店は、1972年に東京都板橋区でオープン。その後「テリヤキバーガー」や「モスライスバーガー」といった、今では他チェーンでも目にするような商品や「菜摘」といったヘルシーなメニューの開発をしながら勢力を拡大。現在の店舗網は、記事の冒頭で触れた通りです。 ハンバーガーがメイン商品ということもあり、人気ランキングの上位は同ジャンルが名を連ね、中でもモスバーガーとテリヤキバーガーが2トップ。
寺本和男さん(商品本部 商品開発部 商品開発第二グループ 参事)は、店名でもあり代名詞でもあるモスバーガーについて、かつて創業者がアメリカ・ロサンゼルスで食べて感銘を受けたハンバーガーを日本風にアレンジしたものだと説明します。 「アメリカ流をベースとしつつも、日本国内向けにアレンジしたのがまず肉でした。現地では牛肉100%のパテですが、モスバーガーでは国内のハンバーグで多く使われていた合いびき肉としました。
また、ソースは豆の入ったチリコンカンだったところ、ミートソースにしており、ラーメンのようなガラスープを使うなど、工夫して開発しました」 日本の食文化を加味したメニュー開発とともにモスバーガーが注力しているのが「医食同源」。顧客の健康に配慮した取り組みを続けており、中でもこだわっているのが野菜です。 1990年代の後半から、当時はまだ一般的でなかった「トレーサビリティ」に目を向け、契約産地から仕入れることで安心安全な食事を提供しています。
■開発では悪夢にうなされるほど「チキン」を食べまくった モスバーガーが、今回のテーマであるモスチキンを発売したのは1992年。開発担当者だった寺本さんは当時を次のように振り返ります。 「開発を開始した1990年当時は、各社がフライドチキンに取り組み、メディアが『フライドチキン戦争』といった報道もしていました。 今でも人気の1社が一強状態だったのですが、中食需要の高まりやクリスマス商戦の生き残りを懸けて、各社が取り組み始めたタイミングでした」