家の解体工事で、見積書の見方、費用を抑える方法を解説! アスベスト調査義務化で費用が高騰
古くなった家屋の解体を検討していたり、住宅を建て替えたりするならば、解体工事が必要になる。しかし、解体工事の相場観や段取りなどについて情報が少なく、何から手を付ければいいか分からない人も多い。専門用語が並ぶ見積書を前に、何をどう見ればいいのか戸惑う。解体工事の仲介サービスを提供するクラッソーネに、工事見積書の見方や注意点を聞いた。 中古マンションの将来価格は予測できる?実は日経平均株価と相関関係があった! 目次 大雑っ把な見積もりに注意!解体工事見積書の4つの基本構成を知ろう見積書で注意すべきポイントとトラブル防止策見積書を比較検討するときに意識しておく4項目なぜ?同じ作業項目でこんなに金額が変わるのか解体費用を抑えるための工夫解体事業者選びのポイントまとめ
大雑っ把な見積もりに注意!解体工事見積書の4つの基本構成を知ろう
解体工事の見積書を受け取ったら、どこを見ればいいのだろうか。クラッソーネによると、見積書は主に4つの項目で構成されているという。見積書の主な構成要素は、次のとおりだ。 【1】建物本体の撤去費用 【2】建築材料のリサイクル費用(廃棄物処分費) 【3】安全対策費用(付帯工事費) 【4】諸経費 【株式会社クラッソーネ】解体工事DXプラットフォームを展開しており、利用者は累計14万人を超える。古い建物が空き家として放置され、環境悪化や街の価値低下を起こしていることに着目し、空き家問題を解決することをミッションとしている。【1】建物本体の撤去費用 建物本体の撤去費用には、建物を解体する作業の費用が含まれる。重機のリース代や人件費などがこれにあたる。後述するが人件費は地域性だけでなく、解体の内容や難易度などによって大きく変動する。 【2】建築材料のリサイクル費用(廃棄物処分費) 建築材料のリサイクル費用は、解体によって生まれる木材や金属、コンクリートなどを適切に分別し処理する費用のことだ。環境への配慮から必要となるもので、後述するが、適切な費用をかけなければ後に大きなトラブルになることもあるので要注意。 【3】安全対策費用(付帯工事費) 安全対策費用は作業員の安全確保だけでなく、解体される建物の近隣への安全対策も含まれる。防音シートや粉じん対策、交通誘導員の配置などがこれにあたる。 【4】諸経費 諸経費は、【1】~【3】の作業を行うための間接費用で、現場管理費や一般管理費などが含まれる。これらの項目を確認することで、何にどれくらいの費用がかかっているかがよく分かり、まずは見積書の全体像をつかむことができるだろう。 注意してほしいのは「解体工事一式」といった大雑っ把な見積もりだ。 項目ごとの金額がわかるように再提出を求めよう 【1】~【4】で紹介した項目などなしで、一式で見積もりを出されると、適切な作業をやってもらえるかどうかが判断できない。場合によっては、工事が始まってから「廃棄物の処分は別料金」などと主張され、追加で料金を請求されることもあるかもしれない。 こうした大雑っ把な見積もりをもらったなら、細かい項目ごとの金額がわかるように再提出を求めよう。もしも、嫌がるようなら、そんな解体事業者はお引き取り願うのが得策だ。その他に、注意して見るべき項目はあるだろうか。 アスベスト調査・処理費用に注意 解体工事仲介サービスのクラッソーネ・川口哲平社長が特に注意して見てほしいと語るのがアスベスト調査・処理費用だ。アスベストとは石綿とも呼ばれ、断熱・耐火性に優れた建材として1950年代~1990年代にかけて広く使用されたもの。 しかし、吸い込むと肺がんや中皮腫などのリスクが高まることがわかり、2006年に使用禁止になっている。こうしたアスベストを使用した既存建築物の解体・改修時には適切な対応が求められており、2023年からは一定の延べ床面積以上の解体前にはアスベスト含有の事前調査が義務づけられており、解体費用は高騰している(解体作業対象の床面積の合計が80㎡以上は対象)。 「専門知識を持つ資格者によるアスベスト調査と報告が義務付けられており、見積書にこの作業項目があるかどうかを見落とすと後に大きな問題になる可能性があります。アスベストは目視だけでは判断が難しいときもあり、試料を採取し、サンプルを専門機関に送った上で判断します。アスベストの有無で処理費用は変わってくるため、適切な見積もりを出すには必須のものと考えましょう」(川口社長) 見積書には会社経費や諸経費、自治体への届け出費用などの項目もある。もしも、分からなければ営業担当者に遠慮なく聞いてみよう。後述するが、その際の態度や、やり取りの丁寧さでも優良な事業者かどうかを見抜くことが可能になる。