家の解体工事の「見積書」の見方は? 数量等の記載がない「どんぶり勘定」の見積書は危険!
古くなった家屋の解体を検討していたり、住宅を建て替えたりするならば、解体工事が必要になる。しかし、解体工事の相場観や段取りなどについて情報が少なく、何から手を付ければいいか分からない人も多い。専門用語が並ぶ見積書を前に、何をどう見ればいいのか戸惑う。解体工事の仲介サービスを提供するクラッソーネに、工事見積書の見方や注意点を聞いた。 中古マンションの将来価格は予測できる?実は日経平均株価と相関関係があった! 目次 見積書の正しい評価方法とは?解体工事見積書の4つの基本構成を知ろう見積書で注意すべきポイントとトラブル防止策なぜ?同じ作業項目でこんなに金額が変わるのか見積書を比較検討するときに意識しておく4項目解体費用を抑えるための工夫解体事業者選びのポイントまとめ
見積書の正しい評価方法とは?
解体工事の見積書は、解体工事事業者によって大きく違う。杜撰な見積書を作成する会社であれば、後々トラブルが発生する可能性が高い。 今回は見積書を3つのタイプに分類したので、それぞれの特徴、気をつけるポイントを説明する。 2. どんぶり勘定一式表示型(要注意)見積書のイメージ 建物撤去費用は「坪単価×○○坪=○○万円」 外構撤去費用は「一式□□万円」 最も注意すべきはこの「どんぶり勘定一式表示」タイプの見積書である。圧倒的に後々のトラブルになる件数が多い。こうした見積書は、細かい部分については口頭での説明に頼ることが多くなり、後から「言った・言わない」の問題が起きやすくなる。 クラッソーネによると「解体事業者の約2割がこのタイプ」だという。 どんなに解体費用が安くても、こうした見積書はトラブルを招きやすい。なるべく作業項目ごとの費用がわかる見積書を再度、リクエストしよう。もしも、渋るようなら「他社の話を聞いてから、また相談します」とでも言って、交渉を打ち切ってもよい。 残念ながら今もまだ、こんなレベルの仕事をしている事業者もいる。とにかく、ザックリとした見積もりは避けるのが得策だ。 2. 標準的な項目別表示タイプ見積書のイメージ ・項目と単価が明記 ・基本的な工事内容が把握可能 最も一般的なのが、このタイプの見積書ではないだろうか。解体事業者の約6割がこのタイプだという。建物解体費用、外構撤去費用、廃棄物処理費用など、主要な項目ごとに金額が記載されているため、工事内容の概要を把握しやすいのが特徴といえる。 ただし、中には建設リサイクル法の申請費用や、アスベスト調査費用など、細かい費用項目については記載がない場合もあるようだ。見積もりを受け取ったら、以下の点を必ず確認すべきだろう。 1. 諸手続きの費用が含まれているか 2. 安全対策費用(養生、ガードマンなど)は計上されているか 3. 追加費用が発生する可能性のある項目は何か 4. 仕上がりの状態はどの程度か 見積書の内容について不明な点があれば、必ず担当者に確認を取ろう。後のトラブルを防ぐため、確認した内容は書面やメールで残しておくこと。そして、対応の丁寧さは、そのまま解体工事の質にも繋がる。 こうした標準タイプの見積書であっても、解体事業者によって記載内容や詳細度には細かな差がある。複数の見積書を比較する際は、同じ条件で見積もられているか、慎重に確認しよう。 特に作業の仕上がり状態については、文字だけでは伝わりづらいこともある。「とりあえず解体・撤去するだけ」なのか、それとも「細かいゴミも含めて見た目もすっきりするまで作業してくれるのか」は分からない。こうした、すり合わせも意識しながら確認していこう。 3. 詳細明記タイプ(理想的)見積書のイメージ ・廃棄物処理費用まで細かく記載 ・図面や現場写真付き もっとも理想的なのは。このタイプ。業者の約2割がこのタイプだという。過不足無く作業項目ごとの費用が明記されていて、なかには図面や現場の写真も付いている場合もある。写真をもとにして「この状態まで作業する」ための費用ということが明快で、後からトラブルになることも少ない。 しかし、こうした理想的な見積書は一見すると総額が高く見える傾向がある。他の事業者が見落としがちな安全対策費用などもしっかりと計上していることなどが要因だ。 例えば、道路の保護のための鉄板養生や、近隣への配慮として必要なガードマンの配置など、工事に付随する重要な対策までしっかりと見積もりに含まれていれば、それなりに費用も高くなる。 このタイプの見積書の特徴は、以下のような項目まで細かく記載されている点だろう。 1. 廃棄物の種類別処理費用(木材、コンクリート、混合廃棄物など) 2. 重機やトラックの使用料と燃料代 3. 作業員の人件費と作業日数 4. 諸手続きの申請費用 5. 安全対策や養生の詳細費用 6. 予想される追加費用の内容と金額 見積書の作成に手間をかけ、このように詳細な内容を開示する業者は、実際の工事においても丁寧な仕事をする傾向があるという。「見積書は解体の仕事ぶりを映す鏡」(解体工事に詳しい関係者)と言えるだろう。 一見、高額に見えても、後からの追加費用が発生するリスクが低く、安全面でも安心できる工事が期待できる。解体工事は建物を壊すだけでなく、近隣との関係や環境への配慮も重要な要素だ。その意味で、「詳細明記タイプ」の見積書を出す業者は、工事全体を見据えた提案ができる信頼できるパートナーになりそうだ。 数量等の記載があるかチェックを 見積書を評価する際、数量や工事範囲などが細かく記載されているかのチェックも必要だ。 以下は、チェックしておきたい項目だ。 【建物のチェックポイント】 建物については、解体する範囲、面積についてきちんと記載されているかチェックしておきたい。 特に登記簿上の面積と、実測値が違っている場合は、追加費用を請求される可能性もあり、注意したい。 また、付属建物(物置、車庫など)の扱いが漏れていないかも確認しよう。 【外構のチェックポイント】 外構についても解体工事費用がかなりかかる場合もあるので、数量などが記載されているか、記載漏れがないかを確認しよう。 ブロック塀の場合は、「長さ」「高さ」が記載されていることが重要だ。 他にも、 カーポート、庭石・植栽、コンクリート舗装などの解体費用についてもリストアップされているかを見ておこう。 【土地のチェックポイント】 土地については、意外と盲点になることがある。整地レベル、整地の深さについての記述があるか、また新しい土の投入の有無についても確認しよう。 整地時の転圧方法についても確認しておこう。