6000人の応募から、残ったのは18人だけ…アリババで日本事業のトップに上り詰めた日本人が明かす「グローバルに生き残るための思考法」
KPI、KPI、KPI!
あらゆる面で日本企業とは対照的なアリババで日々を過ごした大山さん。アリババに勤務していた際は、上司と共に、日本企業を訪問することもあったという。 「上司は、日本企業の文化に違和感を覚えていましたね。アリババでは常にKPIを求められます。ですからアリババの社員は他社の人にも、つい『あなたのKPIは何ですか』と聞いてしまう。ですが、日本企業ではKPIがない人もいますよね。ここが、長くアリババで働いている上司にとっては、不思議で仕方がなかったようです。 ミーティングのときも、日本は偉い人が出てくるとだいたい男性ばかりですよね。アリババはお話した通り、女性も多いですから、自然と対照的な座組になる。中国人の上司が『日本では女性の管理職が珍しいみたいだけど、こんなに多様性がなくて大丈夫なの?』と心配していたこともありましたね。 ただ、他の国でも、何か新しいものや文化を生み出そうという企業は、アリババと同じような社風なのではないかと感じています。たとえば、イーロン・マスクが手掛けている会社などはまさにそうですよね。 世の中に新しい価値観を提供しようとするとなると、日中にかかわらず、ハードワークは必須になるのではないでしょうか」
アリババで感じた「ガラスの天井」
さて、ここまで大山さんにアリババで日本事業トップにまで上り詰めた経験を振り返ってもらったわけだが、大山さんはすでにアリババを離れ、シンガポールに本社があるEC支援サービスを運営する企業「SHOPLINE」日本法人の代表を務めている。アリババを離れていまの仕事始めたきっかけはなんだったのだろうか。 「アリババの中ではこれ以上は上にいけない『ガラスの天井』のようなものを感じるようになりました。決して差別的な意味ではなく、能力や環境を総合して、そう感じたということです。別のフィールドで、自分の力をもっと試したい。そう考えていたところ、SHOPLINEからオファーがありました。『日本事業を伸ばす』という目標のもと、裁量がほぼ全て私に与えられた形で仕事ができる。また彼らの熱量と、トップ自ら何度も誘われたことで心が動き、この人たちと一緒に働きたい!そう思い、お引き受けすることにしました」