廃棄される果皮から新素材「多機能かんきつペースト」開発…企業から問い合わせ相次ぐ
マクシーの用途は多岐にわたる。 同社が発売した日焼け止めクリームは、力を加えた時のみ柔らかくなる性質「チキソトロピー」を生かしている。クリームの延びがよく、ぴたっと肌に吸い付くような独特の感覚が人気だという。かんきつの皮に含まれる成分が紫外線を吸収するという特徴も利用している。
乳化機能にも優れている。23年には、マクシーと同様の製法で作った夏ミカンナノペーストを使用した缶チューハイが、宝酒造(京都市)から限定販売された。通常、かんきつ類の香り成分は液体と分離しやすいが、油とナノペーストを乳化させて溶かし込むことを考案。チューハイにかんきつ本来の香りを効率的に閉じ込めた。 ◇
機能性が高いナノペーストは反響を呼び、多くの食品会社や化粧品会社から問い合わせが相次いでいる。愛媛製紙はかんきつ類にとどまらず、海藻類など、セルロースが含まれている食材のナノペースト化にも挑戦中だ。今後もニーズに応じ、多彩な商品を開発していく。
万博でSDGsに取り組む団体を紹介する「共創チャレンジ」にも登録。6月にはマクシーの展示が決定しており、さらなる認知度の向上を狙う。 西村さんは「今までミカンはさまざまな使われ方をしてきたが、マクシーで全く新しい道を示せたと思う。今後もさらなる革新を愛媛から起こしたい」と力を込めた。