「森友学園」問題で残る4つの謎 坂東太郎のよく分かる時事用語
大阪府豊中市の国有地が格安で払い下げられた問題に端を発した一連の「森友学園問題」で、籠池(かごいけ)泰典理事長が3月23日の国会での証人喚問で証言した内容が波紋を広げています。29日には小学校建設に関する金額の異なる契約書の問題で、大阪地検特捜部が籠池氏に対する刑事告発を受理しました。刻々と状況が変化する森友学園問題。証人喚問以降の焦点をまとめました。 【写真】「森友学園」問題を論点ごとに整理する(3月2日掲載)
(1)国有地で8億円の値引き
騒動の出発点はここです。2016年5月、渦中の国有地の価格を9億5600万円と不動産鑑定士が査定した翌月、1億3400万円で売却されました。実に約8億円のディスカウント。籠池証言は「想定外の大幅な値引きに当時はちょっと驚きました」「政治的な関与という内容について、あったのだろうという風に認識している」。さらに「国有地の大幅な値引きなど、一連の経緯の真相を明らかにするためにも、私だけがトカゲの尻尾切りで罪をかぶせな」いようにしてほしいと要望しました。この年の3月、学園が工事してみたら新たなゴミが出てきたと国に連絡してから約3か月後の大値引きに「びっくりした。神風が吹いた」と復古主義者らしいコメントも。 約8億円と撤去費用を見積もったのは国有地の持ち主である国土交通省大阪航空局。2月の国会で局長が「学園側の要望に沿った」と説明しています。国側はどの程度のゴミがあっての見積もりだったのかという質問に「確認していない」と答弁しています。実際に国有地を売る財務省理財局は内容を明らかにするために欠かせない当時の交渉記録を「廃棄した」と国会で答えました。当時の担当者から聞き取りもしていません。 3月24日の参考人招致でも当時の理財局長は「本件について報告などを受けたことがない」、近畿財務局長も「(政治家などからの)問い合わせは一切なく、政治的な配慮は一切していない」と語りました。 この世の中にそんな話があるのでしょうか。9億円以上の国有地が、どれほどの費用がかかるかも分からないゴミの撤去代を8億円と見積もられ、担当者にも聞かず局長も知らず、政治家の関与もないまま、早期に払い下げられて記録も捨ててしまったなどと。確かに籠池証言通り、買う側からすれば「神風が吹いた」ようなもの。結局、ゴミ撤去にかかる費用の算定根拠は謎のままです。