「森友学園」問題で残る4つの謎 坂東太郎のよく分かる時事用語
(3)政治家の関与はあった?
前述の通り、籠池証言は「政治家の関与はあったものと認識」しているという内容でした。誰が何をしたのか。しなかったのか。時系列ではここが「謎第1弾」になります。 そもそも大阪府で私立小中学校を設置する認可の前提は、「土地・建物が自己所有である」でした。別に珍しい決まりではなく、学校の継続的な運営条件として大抵がそうなっています。ところが籠池氏が認可申請した小学校の場合、当初は借りた土地でした。財務面(特に借金)など森友学園の小学校設置には疑問も多く出されていました。 証言によると、府の審査基準が厳しいという点については、東徹参議院議員(日本維新の会・大阪選挙区)に「協力」を頼んだそうです。東議員は設置基準の状況を府に問い合わせただけで不当な働きかけはしていないと回答しました。土地取得に関しては、柳本卓治参議院議員(自民・大阪選挙区)に売り主である近畿財務局長の紹介を頼みました。柳本議員は「籠池氏や財務局関係者と面会したことはない」とコメントを発表しました。北川イッセイ参議院議員(自民・大阪選挙区、現在は元職)には、新たに分かったゴミの撤去費を国に支払ってほしいと依頼。北川氏は全面否定しています。 証人喚問の冒頭発言で名前があがった畠成章大阪府議(自民)は「(府への申請で)ちょうだいしたご恩も忘れられない。畠先生は松井(一郎大阪府)知事のお父様とも親しいお付き合いがあり、(畠氏に)松井知事や府にお力添えを頂けるようお願いしていた。小学校設置の認可申請では特別なお取り計らいを頂いたものと感謝している」と饒舌に語りました。もっとも畠氏は2014年9月に死去しており、真相はやぶの中です。 他方、松井知事に対しては「はしごを外された」と恨み節も。籠池氏に借金があり、かつ小学校を運営していない学校法人による新設を認めないとする設置基準を緩和してほしいと府に求め、大阪府は2012年4月に改正。森友学園は2014年10月に設置認可を申請し、翌年1月に条件付きながら「認可適当」とされました。松井知事は2011年11月28日に就任し現職です。籠池氏の要望が基準改正に影響したとの疑念を「ない」と一蹴しました。森友学園をめぐる疑惑の発覚後、設置の「不認可」に言及し、3月10日に籠池理事長は小学校の認可申請を取り下げました。