「本来の株式の楽しさを伝えたい!」 60年間、株式市場と付き合って得た“現実と事実” まずスタートしてみよう
もっと言えば、株式は危険だという、エセに近い情報が広まってしまった。どうしてなのか。 それは証券業界の行儀が良くなかったからであり、日本では誰も真面目に、分析に基づいて株式のことを考えようとしなかったからでもある。 「株式」というと、「でも難しそうだ」とか、「株式で財産を失ったと父母や祖父母から聞いたが」との声が周囲にあるだろう。 前者の声については、「株式とは何かと考え始めたらきりがないし、本当のことを知っている者はプロでも数少ない」と簡単に答えておきたい。
後者の株式の危険性については、「それは証券会社や関係業者の言いなりになったからにすぎない」とまずは答えておきたい。父母や祖父母の声はともかくとして、過去も現在も未来も、株式で一攫千金を目指せば、その瞬間、財産をなくす危険に直面する。 だが、株式とは本質的に怖いものではない。 筆者の60年間にわたる株式市場との付き合いから得たさまざまな現実と事実を単純化して書くのなら、次のとおりである。 まず、「株式を買うことは子どもでもできる」単純なことである。もちろん契約に関する年齢制限があるため、原則として子ども(18歳未満)が証券会社に株式口座を開けないだろうが、それは契約に関して正しい判断ができないとの理由に基づくだけである。
次に、「株式で損をすることは当然ありうるが、欲さえかかなければ、大ケガとは無縁、何も怖くない」と筆者は信じて疑わない。ここでいう「欲」とは何なのか。 それは「安く買って、高く売ろう」とか、「借金して、たとえば信用取引で株式の売買をしよう」などといったことであり、要するに明日にでも大金持ちになろうとすることだ。 ■本来の株式の楽しさを伝えたい 1950年以降の日米の株価推移を以下の図にした。日本もアメリカも70年あまりを通じて株価は上昇してきている。
日本の場合、1980年代後半の異常な株高、すなわちバブルと、90年代のバブル崩壊はあったものの、長期で見れば株価は上昇の歴史である。 なお、図の目盛りは常用対数を使ったから、株価推移を示す線の傾きが株価上昇率もしくは下落率を表している。株価推移については現地通貨ベース(日本は円、アメリカはドル)と円ベースの両方を示した。後者は円高、円安の影響を受ける。 極論に近いが、1980年代後半に生じた日本のバブルにより、超が付くくらい異常に高くなった株価(正確には日経平均株価)でさえ、34年2カ月を要したものの、2024年2月には元に戻った。つまり、株価はゼロにはならない。