原動力は怒りと逆境――ONE OK ROCK・Takaが目指す「アメリカでのロック回帰」
逆境の瞬間をとにかく楽しみたい
アメリカのトレンドにあわせて自らのスタイルをモデルチェンジしていくのではなく、自分自身の根っこにあるロックへの憧れと衝動を突き詰めていくことを、Takaは選んだ。 「みんな人間なんで、賢くなるし、適応していく。ただ、僕らは適応していかない道を選んだ」 敷かれたレールを外れ、逆境の中で挑戦することを選ぶTakaの生き方は、10代の時から変わっていない。 「ありきたりのシステムに乗っかって成功しても満足しないタイプなんです。逆境の瞬間をとにかく楽しみたい。スタッフやメンバーが、動いてないと死んじゃうマグロみたいな僕の性格に付き合うのが一番大変かもしれない」
自分にとっての“成功”とは?
今、アメリカの音楽シーンでは、全米チャートでナンバーワンになったBTSだけでなく、アジア出身のアーティストが少しずつ存在感を示すようになってきている。こうした変化をどう見ているのか。 「BTSしかり、アジアのアーティストが世界一のエンターテインメント大国と言われるこの国で結果を残したいと思って動いてきた。数年前は『グラミー賞なんて無理だ』って言っていた人たちがいたけれど、そういうことを言う人って、結局は傍観者で。今、アメリカの人たちはアジアの文化に対して敬意を払いながら面白がって見ている。アニメのパワーもあって、特に若い子たちはそういうふうに日本の文化に触れている。それはうれしいですね」
では、Takaは自分にとっての“成功”をどう位置づけているのか。 「とりあえずは、アメリカでアリーナツアーをやることですね。お客さんも現地の人や若い人たち、白人、黒人、人種を問わず集まって。パフォーマンスしながら『ああ、アジア人以外にも届いてるな』っていう感覚を得て、異文化の人たちに届くアリーナツアーを遂行できれば、ここ近々での成功というところに行った気になれるのかな。でも、何が成功なのか、いまだによく分かってないし、生きてる間は成功したって思うことはない気がします」 見据えているのは、ONE OK ROCKの成功だけではない。バンドの挑戦が次の世代に受け継がれること、自分たちを乗り越えていく若いバンドが現れること。そんな願いを持っている。 「僕らの前にもアメリカで頑張ろうとした日本のバンドはたくさんいましたけど、僕らほどの熱量とモチベーションと時間をかけてやってきたバンドも、今のような環境を築けたバンドもいないと思っているんです。だから、しっかりこの地で成果を出して、それを見た若い子たちが僕らを超えていってほしい。もしかしたら『ONE OK ROCK、できなかったじゃん、結局』って言われる日が来るかもしれない。それが逆に楽しみでもある。そうならないように頑張ろうとは思っていますけどね」 Taka(ONE OK ROCK) 1988年生まれ、東京都出身。ONE OK ROCKは2005年に結成し、07年にデビュー。最新アルバム『Luxury Disease』が発売中。9月から10月にかけてアメリカツアーを開催。 ヘア:榎並孝介 メイク:青山佑綺子 スタイリング:丸本達彦(UNFORM)