原動力は怒りと逆境――ONE OK ROCK・Takaが目指す「アメリカでのロック回帰」
怒りが充満するコロナ禍に感じたこと
Takaは15歳の時にそれまでの芸能活動を全てやめている。ONE OK ROCKの結成は2005年、17歳の時だ。バンドは決して順風満帆な船出ではなかった。 「バンドを始めた頃は、ライブハウスにCDを持っていって『ライブをやらせてください』って言っても『うちはアイドルみたいなのはやってないから』なんて言われたりしていた。疎外されまくってましたね」 ONE OK ROCKの新作アルバム『Luxury Disease』には、「Mad World」という曲がある。34歳となったTakaがこれまでの人生を振り返る歌だ。歌詞にはこんな言葉がある。 引かれたレールを外れ 後戻りは出来なくなった 15才の夜 口ずさむ『15の夜』 あの日僕が僕に誓った 夢は枯れることなく無事に育った 19年後の今僕がいるこの世界 Takaが15歳の時に感じていたものとは何だったのか。 「世の中って何なんだろう?って、頭の中にはたくさんのはてなマークがありましたね。自分のやりたいことと、みんなが求めてくるものが、あまりにも違う。自分とフィットしていない感覚は常にありました。今も理解するようになったというくらいで、全く解消されていないんですけど。やっぱり、いつも自分を突き動かすのは怒りだったり、ネガティブな要素だったりが衝動の根源としてあるのかなと思います」
なぜ今も怒りが原動力であり続けているのだろうか。 「たぶん、人間ってみんな自分が思う理想の世界を築きたいんだと思うんですよ。それに対してうまくいかないことがストレスになったり、怒りに変わったりする。でも、そういう怒りのエネルギーを理解しながら、そのエネルギーをどう使ったらベストかを考えるようになった。若い時はやり方を知らないんでいろんな失敗をしてきましたけど、でも、失敗が今の自分を作っている気がしますね」
世界が新型コロナウイルスによるパンデミックに見舞われたこの2年半、Takaはさまざまな立場の人たちの怒りが世の中全体に充満していくのを感じていたという。 「人々の世の中に対する怒りみたいなものが、ふつふつと見えてくるようになった。そういう時代の流れにロックという音楽がハマっていくだろうなと思う」