「二宮和也の伝説」と「佐藤勝利の努力」…オーディション番組「タイプロ」を見てよくわかった「やはり本物は違う…!」
前代未聞のオーディション番組が話題になっている。「timelesz project -AUDITION-」(通称:タイプロ)は、timelesz(今年Sexy Zoneから改名)のメンバーが自ら、新メンバーを探す試みである。 【一覧】テレビ局「本当は使いたくないタレント」…ワースト1位は意外な大御所…! 現在はSTARTO ENTERTAINMENTに所属する彼らだが、ジャニーズ事務所時代から含めても、この事務所のグループがデビュー後に新メンバーを加えるということ自体に前例がなく、初めての試みである。 配信が開始されると、その選考の様子に「就活の面接のようだ」という声がSNS上に溢れた。筆者もそう感じたし、その声に異論はない。 筆者は、就活本を3冊、ジャニーズに関する本を2冊書いており、勤務する会社では人事面接の面接官も担当している。その上で見えてくるのは、どちらかと言うと、timeleszのオーディションはベンチャー企業の新卒採用というよりも、大手老舗企業の中途採用に近いということである。 そして、審査が進めば進むほど、面接だけではなく、社内のコミュニケーションやチームビルディングなどにも役に立つ要素が満載であることに気づく。本稿ではそれについて解説したい。
相手を知ろうとする努力
timeleszのオーディションは、書類選考が1次審査で、timeleszメンバーの前で面接やパフォーマンスを行うのが2次審査となった。 そこでは、timeleszの曲やライブについてメンバーが候補生に聞くなど、timeleszに関する知識を問う質問が多くあった。そこで知識がなかったり、知らないのに取り繕うとしたりする候補生は、次々と落ちていった。 メンバーの松島聡は、自身の面接官の経験を経て、就活生にこんなアドバイスをしている。 「最低限の知識は欲しいです。事前の勉強とか準備はマストで、『自分はこれくらいあなたに興味があって、あなたのことを調べました』ってちゃんとアピールしてほしい。それをあざとくていやらしいと思う人もいるかもしれないけど、短い時間でわかることって、その人がちゃんと努力している人かどうかぐらいなんだよね」(https://www.vivi.tv/post427551/) 筆者自身もよく就活生にアドバイスをするのだが、新卒採用における選考基準は「今、完成形であるか」ではない。「完成形になろうとする意志があるかどうか」である。そして、その意志があるかどうかは、表面上の言葉ではなく、努力の跡が見えるかどうかで判断される。 timeleszメンバーの佐藤勝利は14歳で仕事を始めた頃、その時点で出ていた事務所の先輩たちのアルバムをレンタルショップに行っては借り続け、「たぶん全部」聞いたという。その理由を「まずは、知らないことが失礼だと思ったんです。それまでゼロだったから必死だった」と述べている。(『TVガイドPERSON』 vol.136)。これはもちろん佐藤の努力でもあり、そして自分が所属することになった企業への敬意の表れでもあるだろう。 そういった相手を知ろうとする努力は、ふとした瞬間に垣間見えるものなのである。そして、この相手=企業を知ろうとする努力は、新卒か中途かを問わず、重要なもののひとつである。