原動力は怒りと逆境――ONE OK ROCK・Takaが目指す「アメリカでのロック回帰」
ロックのシーンが衰退してきた
しかし、その頃から音楽シーンのトレンドの変化が顕著になってきていた。アメリカのヒットチャートは彼が憧れてきたようなロックバンドの楽曲ではなく、ラップやダンス系のポップソングによって埋め尽くされるようになっていった。 「アメリカでロックのシーンが衰退しているのは常に感じていました。ある一定数のロックファンはいても、メインストリームに食い込んでこない。だから、アメリカでもバンドの文化をもっと広めたい、ロックを取り戻したいという構想はずっとありました。でも、まだ何もアメリカで結果を出してないバンドがそんなことを言っても説得力がない。なので、まずはこっちに住んで、周りの人間に自分の気持ちを伝えていきながら、その機会を狙っていました。裸一貫で乗り込んでいるぶん、自分たちでちょっとずつ開拓していくしか方法がなかった」
反逆的なロックのスタイルに惹かれた理由
Takaは「ロックというのは、世の中に対して基本的に中指を立ててる人たちの音楽」だと語る。核にあるものは怒りのパッションなのだという。彼がロックに惹かれた原体験は何だったのだろうか。 「僕が最初に買ったロックのCDはhide with Spread Beaverの『ピンク スパイダー』なんです。聴いた時にびっくりしました。反逆的な音楽、反骨精神を持ったロックのスタイルは、自分に合ってるなと感じたんです」 1988年、歌手の森進一と、同じく歌手の森昌子の長男として生を受けた。芸能一家という特殊な環境の中で生まれた反骨精神は、彼のバックボーンの一つになっている。 「僕はもともとこういう家庭に生まれて、そこで大人しく言うことを聞いていればこんなふうにはなっていないと思うんです。やっぱり人間って、特に若い時は反発するエナジーを持っているじゃないですか。何も怖いものがない状態ですし。そういう中で、怒りに身を任せて、でもいろんなことに気づきながら自分を成長させていくことの連続だった。それが、ロックっていうルールブックを逆さまにするような生き方にリンクしちゃったのかなって。逆に、僕がもうちょっと普通の家庭に生まれてたら、ここまでロックに対して、生き方も含めてそんなに意識はしてなかったかもしれない」