フォルクスワーゲンID7 詳細データテスト クラス屈指の広さと快適さ 適度な走り 質感は価格相応
快適性/静粛性 ★★★★★★★★★☆
乗り心地に関しては、激しく対立したわけではないが、テスター間で意見の相違があった。いっぽうでは、ダンパーをコンフォートモードよりもソフトに設定すると、好ましくないフワつきが出るという声があった。いまや死語のような表現だが。 他方では、直線に近いルートで楽に走れる能力を評価する声も上がった。そうした場面では、すばらしく乗りやすく、非常にリラックスできる。 どちらを取るかは好みの問題になりそうだが、シトロエンDSのように高速道路を走れるEVサルーンがほしいなら、これは選択肢になりうる。B級道路では、ベストとは言えないが。 われわれとしては、英国でのID7はほとんどの間、コンフォートモードで走ることになるだろうとみている。乗り心地の角を落としながらも、上下動はそこそこ抑えられるからだ。ヒョンデ・アイオニック6やテスラ・モデル3のような硬さはないので、ずっと路面に注意を払って緊張し続けなくてもいい。 ボディサイズとゆったりした走りは、静粛性の高さも予感させる。実際、かなり快適ではあるが、ずば抜けたものではない。騒音計は、113km/h巡航時にモデル3ロングレンジより1dBA大きい数値を示したが、i5 eドライブ40 Mスポーツとは同等だ。視認性は、おおむね上出来だ。
購入と維持 ★★★★★★★★★☆
5万1550ポンド(約985万円)という価格は、BMW i5などと比べるとずいぶんコストパフォーマンスがいいように思える。テスラ・モデル3はもっと安く買えるが、キャビンの広さや乗り心地は劣る。 英国に導入されているのは、今のところ装備が充実したプロ・マッチのみだが、今後上陸するであろう高性能版のGTXは6万ポンド(約1146万円)以上の値付けとなる見込みだ。 今回の77kWh仕様はツーリング時の電費が5.8km/kWhだったので、計算上の航続距離は446kmとなる。ヒョンデ・アイオニック6と同等で、i5 eドライブ40やメルセデス・ベンツEQE350を上回るが、いずれにせよ480kmに達するモデル3ロングレンジには及ばない。ただし未導入の86kWh仕様ならば、500km近い数字が出ると思われる。 急速充電性能は今のところ最大175kWにとどまり、10-90%の間の平均値は120kW。平均180kWを記録したアイオニック6あたりと比べると見劣りする。