フォルクスワーゲンID7 詳細データテスト クラス屈指の広さと快適さ 適度な走り 質感は価格相応
使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
■インフォテインメント 15インチの新型タッチディスプレイは、空調や運転支援機能も含めシステム全体の操作が統合されている。いつもならこの手の装備には否定的だが、フォルクスワーゲンが顧客から聞き取りをして操作性を改善したおかげで、使いやすくできている。 ユーザーが設定できるメニューバーは常時表示されていて、よく使う機能へワンタッチでダイレクトにアクセスできる。今や義務付けられている速度制限アシストをオフにするのは、スワイプやスクロールをしないでも、2回タッチすれば1秒ほどで完了する。もっとも、オンのままでも驚くほどプログレッシブで控えめだが。 ホームページにはかなり多くの機能を表示でき、ボタンは長押しすれば別の機能へ切り替えできる。また、一度押せば使いたい機能にアクセスできる。これまで不満を述べてきた点を、フォルクスワーゲンは修正してきた。このソフトウェアは今後、他モデルの13インチ画面仕様にも適用されるはずで、それは喜ばしいことだ。 ■燈火類 5m級サルーンらしく、マトリックスLEDヘッドライトのIQライトを装備。しかし、マトリックス機能はもっと反応を早くできただろう。 ■ステアリングとペダル ドライビングポジションの配置に問題はない。快適志向のレイアウトだ。
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
ID7には、上々のドライビングポジションと直感的な反応を見せるスロットルペダルが備わっている。そのコンビネーションは、優れたハンドリングを狙うクルマにとっては強固な基礎となる。このビッグなフォルクスワーゲンはさらに、ロングホイールベースによるハイレベルな安定性が加わる。 DCCダンパーにはより自由に動くレンジがあり、カントリーロードでは多少の上下動やガタつきが出るが、なにか余計なことをしなければそれが明らかになることはない。適切なサスペンションのセッティングを選んでおけば、長距離を走れるすばらしく落ち着いた電動サルーンとなる。 また、長年フォルクスワーゲンが培ってきたような性質は受け継がれている。神経質さがなく、ほとんど緊張することなく、どんな道でも十分以上のスピードで走れる。 それとともに、アジリティもいい感じだ。DCC装着車ではギア比がクイックになるステアリングの再調整されたソフトウェアや、動力のかからないフロントアクスルの動きが、正確さと熱さをいずれも満足させるコーナリングを可能にする。ただし、フィードバックはほとんどない。 ターンインでのグリップは上々で、この手のクルマに求められる後輪駆動らしいコーナリングバランスもかすかながら見せてくれる。旋回姿勢はみごとにフラットだ。ちょっとハードにプッシュすると、スロットルでのアジャストをある程度楽しめるが、ESPが厳格で、介入の仕方はあまり洗練されていない。その点、GTXは改善されているはずだ。 はたして、ID7がピッタリハマるのはどのクラスか。テスラ・モデル3よりはナチュラルだが、あちらにみられるファンなゴーカートフィールはない。ハンドリングはBMWのEVほどではないが、快適性では近いところも見つけられる。つまり、かなり熟成されていて、言うなれば中道だが、そこに思いがけない上品さが宿っている。